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社員11人中7人がワールドカップに行く会社の、旅と仕事の回し方 ~北中米W杯遠征記・後編~

シンクロの萩原です。シンクロでは、ワールドカップを現地で観戦することが恒例となっています。2026年の北中米大会でも、社員11名中7名が「シンクロハウス」と呼ぶ一軒家に集まり、日本の仕事をこなしながらスタジアムに通う数週間を過ごしました(前編では、その生活とワールドカップの熱狂について書きました)。

▶ 前編の記事はこちら: 会社の仲間と一軒家を借りて、ワールドカップを観に行く ~旅と仕事を両立する会社の北中米W杯遠征記・前編~ https://thinqlo.co.jp/column/15265/

後編では、新卒で入社し、2度のワールドカップを会社の仲間と経験した私の目線から、「シンクロという会社の中身」と、旅と仕事を両立させる技術、そして「若いうちにワールドカップへ行く意味」について書きます。

■一人ひとりが、”自立している”組織

シンクロは、一見すると、ただの旅とサッカー好きの集まりです(笑)。でも実際は、一人ひとりがすごく”自立している”会社だと思っています。普通の会社と並べると、そこが決定的に違います。

象徴的なのは、働き方だけではなく旅の時の動き方です。今回の旅の間も、それぞれが自主的に判断して、勝手に動いていました。誰かの指示や承認を待つ、という空気がそもそもないんです。

■トラブルのとき、すぐに全員が動いている

このカルチャーがいちばん表れるのは、旅先でトラブルが起きた瞬間です。

旅には、トラブルがつきものです。レンタカーが動かなくなる事件など、今回もたくさんありました。面白いのは、シンクロのメンバーは問題が起きたとき、それを共有するのと同時に、もう自分が解決の行動に動いているんです。誰も、誰かを待たない。トラブっても、みんなやたら冷静で(笑)。

ツアー旅行なら、コンダクターやガイドさんが解決してくれます。でもバックパッカーの旅は、自分が動くしかない。シンクロは完全に後者の集団で、「誰かがやってくれるのを待つ」という空気が、そもそもないんです。

レンタカーが動かなくなった時、全員が対応方法を探し始めた
レンタカーが動かなくなった時、全員が対応方法を探し始めた

もうひとつ、シンクロらしいなと思うのは、一軒家でみんなでずっと一緒に暮らしていることです。社員同士で数週間の共同生活って、普通の会社ではまずないですよね。夜中までずっと誰かが喋っていて、現地にいる知り合いがゲストとして遊びに来たりもして。いろんな人の経験談を聞けるあの時間が、すごく面白いんです。

もちろん、一緒に過ごす上でストレスがゼロかと言えば、そうではないです。ただ、それをみんなで自主的に解決していく。良い空気感を、全員で作ろうとする。たぶんバックパッカーって、汚い環境や二段ベッド(笑)みたいな状況でも工夫してやっていける人たちなんです。そういう人が集まっているから、距離が近くても成立するんだと思います。

ゲストを迎えて昼食を食べながら、急に仕事の話が始まる
ゲストを迎えて昼食を食べながら、急に仕事の話が始まる

■同じ家、バラバラの仕事術

このカルチャーは、働き方にも表れます。同じ屋根の下にいながら、仕事のやり方は全員バラバラでした。

あるメンバーは、移動日を含めて数日、完全に仕事をオフにして来ていました。普段は猛烈に働いている人です。別のメンバーは、クライアントとの打ち合わせをメインでこなして作業は後回しにし、ワールドカップ後に別でホテルを取って、缶詰めになってまとめて片付ける計画。メキシコに行くとき、仕事用のパソコンを持っていかなかったメンバーもいました(笑)。もちろん仕事をしないわけではなくて、「スマホでできる仕事だけ」をその期間に残しておいて、ショルダーバッグ1つで国境を越えて1週間弱滞在する。仕事の方を、旅の形に合わせて再設計しているんです。

私はというと、折りたたみのモニターを持参しました。普段のバックパッカー的な旅では重くて持っていけず、ノートPC1台で生産性が少し落ちてしまうのですが、今回は一軒家に2〜3週間滞在すると分かっていたので、モニターを持っていくことであらゆる作業に対応できる環境を作りました。

モニターを設置して宿にて仕事中の様子
モニターを設置して宿にて仕事中の様子

■ブラジル戦敗退の数時間後に、打ち合わせ

もっとも、旅と仕事の両立は、簡単なことばかりではありません。

テクニックとしては、隙間時間・移動時間・缶詰めになれる時間、それぞれに合わせて仕事の種類を変えることです。スマホでできる仕事、モニターが2枚要る仕事、移動中にできる打ち合わせ。レパートリーを組み替えて、隙間を埋めていく。私も全然完璧にはできていないですが、これは旅しながら働く上での必須スキルだと思います。

ただ、それより本質的なのは「切り替え力」かもしれません。実は私は、ブラジル戦で負けた数時間後から打ち合わせが入っていました。正直「メンタルきついな」と思いながらやっていました(笑)。

世界を旅してすごい景色を見た直後に仕事なんてできない、という人もいると思いますし、逆に、トラブルの後でもやることはやる、と自然に切り替えられる人もいる。仕事と旅の境界線がきっちりしていないと動けない人には、正直この働き方は難しい。逆に言えば、そこさえ越えられれば、旅そのものが仕事の種になっていきます。人と会って話したことが、長期的にちゃんと仕事として返ってくる。楽しさが大変さを上回っているから、続いているんだと思います。

惜しくも敗れたブラジル戦。この数時間後からの打ち合わせは大変でした
惜しくも敗れたブラジル戦。この数時間後からの打ち合わせは大変でした

■あなたにとってのワールドカップは、まだ始まっていない

前回のカタール大会の記事で、当時の大学生たちが「社会人になったら長期海外には行けないと思っていた」と話していました。いまの私は、社会人ですが2大会目の現地観戦を終えたところです。そんな中、今回改めて感じた「若いうちにワールドカップに行く意味」について書きたいと思います。

今回の滞在中にお話しさせていただいた、ケニアなどアフリカのツアーを企画されている「オンリーワントラベル」の山田陽介さんの言葉が、すごく印象に残っています。「アフリカに行ってみないと、あなたにとってのアフリカは始まらない。」一度行ってみて、ようやくそこからあなたにとってのアフリカが始まる、という話です。

ワールドカップも、全く同じだと思いました。20代で行けば、”あなたにとってのワールドカップ”は残り50年続く。でも50代で初めて行ったら、残りは20年しかない。体力的にも、そこから広がる人生の幅としても、全然違うものになる。いま好きなものがあるなら、そしてそれがサッカーなら、ワールドカップに行くという体験を早くやる。それだけで、自分にとってのワールドカップがもう「始まっている」。若いうちに2度もワールドカップを経験できて本当に良かったと思うし、この考え方を手に入れられたこと自体が、今回いちばんの収穫でした。

現地で得られるものは、ネットに載っている情報ではなくて、目の前で生に起きるものです。

食べ物の味とか、スタジアムの音とか、街の匂いとか。自分の生身で経験して五感で感じたものは、忘れた頃に、ふとどこかで蘇る。ブラジル戦が終わった後の、あのやりきれない気持ちも含めて、全てがかけがえのない体験だったなと思っています。

結論はシンプルです。次回のワールドカップはシンクロ社員全員で行けたらと思います(笑)

次の集合は4年後のW杯で
次の集合は4年後のW杯で

▶ 前回・2022年カタールワールドカップ編の記事はこちら:「社会人になったら長期海外に行けない」と思っていた大学生がカタールで見た、旅をしながら仕事をする会社
(文・萩原)

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