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会社の仲間と一軒家を借りて、ワールドカップを観に行く ~旅と仕事を両立する会社の北中米W杯遠征記・前編~

シンクロの萩原です。オーストラリアでプロサッカー選手としてプレーしていた後、新卒でシンクロに入社し、現在はシンクロの新規事業から別会社化したゴルフクラブD2C「NOOG」の代表をしています。

突然ですが、シンクロには4年に1度の恒例行事があります。サッカーワールドカップの、現地観戦です。2022年のカタール大会に続き、今回の北中米大会には社員11名中7名が参加しました。アメリカ・テキサスに「シンクロハウス」と呼ぶ一軒家を借りて数週間一緒に滞在し、時差がほぼ真逆の日本の仕事を通常通りこなしながら、スタジアムに通う。

この記事では、そのワールドカップ遠征の日常——どんな生活で、どう仕事を回し、何を感じてきたのか——を、参加した社員のひとりとして書いてみようと思います。

 

▶ 前回・2022年カタールワールドカップ編の記事はこちら:「社会人になったら長期海外に行けない」と思っていた大学生がカタールで見た、旅をしながら仕事をする会社

■社員11名中7名がワールドカップに行く会社

私が最初にワールドカップに行ったのは、4年前のカタール大会。新卒でシンクロに入社して1年目のときでした。まだ仕事は何もできない頃でしたが、「会社のみんなでワールドカップに行く」と聞いて、「1年目で行けるなんてめちゃくちゃチャンスだ」と思い、行かせてもらいました。

そして、そのカタールでの体験に感動しすぎて、歳をとって動けなくなるまで、「4年に1度毎回必ずワールドカップは現地に行く」と決めました。

2022年カタール大会にて。この体験が"恒例行事"の原点になった
2022年カタール大会にて。この体験が"恒例行事"の原点になった

前回カタールに来ていたメンバーは、今回も全員参加。さらに初参加が3人増えて、気づけば社員の11名中7名と、6割以上のメンバーが現地に来ていました(笑)。たぶん私たちが、4年前から社内で「カタールのワールドカップ、最高だった」と話しすぎたせいだと思います(笑)

今回初参加のある社員は、サッカーには全く興味がなくて、知っている選手はメッシとクリロナだけ。それでも来て、結果、大満足して帰っていきました。サッカーが好きだから来るというより、このワールドカップの生活が面白いから来る。いつの間にか、そういう行事になっている気がします。

■時差14時間の中での仕事を、どう乗りこなすか

誤解のないように書いておくと、ワールドカップ期間といっても休暇ではありません。全員が、仕事を持ったまま現地に行きます。働く場所と時間の設計が各自に任されているシンクロだからできることで、私の場合は、NOOGの業務を時差約14時間・昼夜がほぼ真逆の国からこなすことになりました。

現地でのスケジュールイメージ

現地でのスケジュールは上記のようなイメージです。

  • 一緒に仕事をしている業務委託の方との打ち合わせを、時差込みで事前に組んでおく。
  • 撮影などリアルでしかできない業務は、ワールドカップに来る前にまとめて終わらせておく。
  • 期間中は打ち合わせ中心にして、自分の作業はなるべく入れない。じっくり取り組む作業は、業務委託の方に動いてもらえる体制を事前に作っておく。

などの工夫をすることで、何とかある程度睡眠時間を確保しながら仕事とサッカーを両立することができました。

 

夜6時7時には宿に戻って、そこから6〜7時間仕事をして、深夜2時3時に寝る。これで日本時間の昼過ぎ〜夕方までは働けます。あとは予定をブロックして4〜5時間寝て、朝8時に起きると、ちょうど日本時間の夜。たまった連絡を朝イチで返す。ほぼ真逆の時差の中ですが、何とか仕事をこなすことができました。

シンクロハウスの朝の食卓。
シンクロハウスの朝の食卓。

■大人になって、本気でガッツポーズをする日

そこまでして、なぜワールドカップを観に行くのか。答えは単純で、ここでしか味わえない体験があるからです。

今回観たのは、日本戦の4試合(オランダ戦、チュニジア戦、スウェーデン戦、ブラジル戦)と、ポルトガル対ウズベキスタンの計5試合。

いちばん面白かったのは、やっぱりブラジル戦でした。この4年で日本代表は本当に成長したんだな、と感じられた試合で、前半の内容がすごく良くて、「これはいけるかもしれない」という期待を肌で感じながら応援できた。試合が終わった後、正直ちょっとうるっと来ちゃう自分がいました。

圧倒的なアウェイの中のブラジル戦
圧倒的なアウェイの中のブラジル戦

たった90分でも、スタンドがひとつのチームになって、本気で応援して、本気で喜んで、本気で悔しがれる。思い出すと、自分が本気でサッカーに取り組んでいた頃の感覚に近いです。大人になって、本気でガッツポーズをする瞬間なんて、まず訪れないですから。

初戦のオランダ戦、第三戦スウェーデンの戦の舞台となったダラスのスタジアムも衝撃でした。世界でいちばんお金を稼いでいるとも言われるアメフトチーム「ダラス・カウボーイズ」のホームスタジアムで、ドーム型で全部屋内。ダラス自体は猛暑なのに、中はエアコンが効いていて快適そのもの。そして中央に、すごく大きいモニターが4つ吊ってあり、360度どの席からも試合の映像がしっかり見える。あの体験設計には本当に圧倒されました。

AT&Tスタジアムの内観(宙吊りの巨大ビジョン)
AT&Tスタジアムの内観(宙吊りの巨大ビジョン)

■熱狂の在り処 アメリカ、メキシコ、カタール

今大会は史上初の3カ国共催。国境を越えると、空気は一変しました。

まず面白かったのは、アメリカにもメキシコにも、若い日本人サポーターがめちゃくちゃ多かったことです。アメリカは現地の駐在や留学生の方々が多かったとも思いますが、カタールのときとの明確な差分でした。飛行機に乗っている時間はだいたい同じなのに、アメリカは日本人にとって「行きやすい国」で、カタールはどこか「遠い国」だったのかなと思います。同じ距離でも、心の距離は全然違うんだなと。

そして、メキシコ。モンテレイの熱はすごかったです。街を歩いている人が、みんなどこかの国のユニフォームを着ている。スタジアムに向かう道の時点で、もうお祭りが始まっている。インフラがアメリカに比べて整っていないので、スタジアムへ行くのも帰るのも大変なんですが、その分、着いた瞬間から楽しい。快適さと熱量は、どうやらトレードオフらしいというのが今回の学びです(笑)。

メキシコ・モンテレイの「エスタディオBBVA」
メキシコ・モンテレイの「エスタディオBBVA」

文化の違いをいちばん感じたのも、メキシコでした。写真を撮ろうとすると、メキシコの人が横からどんどんフレームに入ってくるんです(笑)。「撮ろうぜ!」って肩を組んでくる。アメリカでは考えられないし、日本でも考えられない、あの人と人との距離の近さです。

カタールは「1つの国が0から作りあげた最高の環境」で観る大会でしたが、今回は国境をまたぐたびにスタジアムも空気がガラッと変わる。その違いを楽しむのも、この大会の醍醐味だったと思います。

おまけコラム:アメリカのスポーツビジネスが、すさまじい

マーケティングを本業とする人間として、もうひとつ驚いたのがチケットの売り方です。今大会はダイナミックプライシング制で、良い試合・良い席には高い値がつく。

さらにFIFAが公式のリセール(再販)市場を整備し、買った人が自分で値付けして転売できる仕組みを導入しました。FIFAは売り手と買い手の双方から15%ずつ手数料を取るので、たとえば定価2万円のチケットが3万円、5万円と転売されるたびに利益が生まれる「1枚のチケットから3回儲かる」構造です。チケット収益は前回大会の数倍規模とも言われます。

試合中の給水タイムに流れるCM、フロアまるごとのVIPルーム。お金を生む設計が徹底されている一方で、本当にお金のある人しかサッカーを観られなくなってきている、という懸念も現地でははっきり感じました。

なんとかして手に入れた日本戦のチケット
なんとかして手に入れた日本戦のチケット

後編では、旅と仕事を両立する働き方を成立させるシンクロという会社のカルチャーと、そして「若いうちにワールドカップへ行く意味」について書きます。

▶ 後編の記事はこちら: 社員11人中7人がワールドカップに行く会社の、旅と仕事の回し方 ~北中米W杯遠征記・後編~ https://thinqlo.co.jp/column/15284/

▶ 前回・2022年カタールワールドカップ編の記事はこちら:「社会人になったら長期海外に行けない」と思っていた大学生がカタールで見た、旅をしながら仕事をする会社

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