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【バックパッカー社長対談】旅とグルメを求めて人生をとことん楽しむ、女性社長の固定観念にとらわれない生き方

訪問国数は140か国以上。これまでに二度の世界一周旅行を実行し、今でも毎月のように海外や国内を飛び回っているシンクロ代表の西井。その自由な生き方を、人々は「経営者だから」「お金を持っているから」「男性だから」と言います。
しかし世の中には、そんな西井にそっくりな生き方をする女性がもう一人。経営者になる前から今と同じような生活をしていたという二人が、その固定観念にとらわれない生き方について語り合いました。

■前編のトピックス

  • 自由なのは、経営者だからでも、男性だからでもない
  • 社会人になったら、旅行に行けなくなると思っていた
  • 下心で転職。バイトから社長へ。
  • 日本のイベント仕事の合間に、1泊3日でヨーロッパへ
  • 旅行とご飯にお金を使いたいから、家はいらない

■後編のトピックス

  • 移動はノーカウント?移動はボーナスタイム?
  • 自分の目で見て、体験して、知ることが面白い
  • 旅と仕事の共通点
  • 自分が生き生きと仕事をすることが、一番大事

後編はこちら>>

プロフィール

古市優子さん
コムエクスポジアム・ジャパン株式会社 代表取締役社長

慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、サイバーエージェントを経て2013年よりdmg::events(現Comexposium)に入社、2019年に同社代表取締役社長に就任。欧州大手イベントオーガナイザーComexposium Groupにおける最年少Managing Directorとなる。
日本国内では主に ad:tech tokyoをはじめとした、マーケティング・広告・コマース・デジタル領域のカンファレンスを企画運営を総指揮。2022年以降はビジネスイベントのプロフェッショナルとして従事する傍ら、企業の社外取締役や、全米広告主協会が取り組む「SEEHER」推進役も兼務。日本の組織や社会におけるDE&Iの推進に向けて、各種講演やアドバイザー業務など、精力的に活動中。
J.S.A.ワインエキスパート、趣味は旅行とワイン。

西井敏恭
株式会社シンクロ 代表取締役社長

1975年5月福井県生まれ。金沢大学大学院修了。
2001年から世界一周の旅に出る。帰国後、旅の本を出版し、ECの世界へ。2014年に二度目の世界一周の旅をしたのち、シンクロを設立。大手通販・スタートアップなど多くの企業のマーケティング支援やデジタル事業の協業・推進を行う。
株式会社グロースX 取締役CMO
オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員CMT
鎌倉インターナショナルFC 取締役CDO(チーフデジタルオフィサー)
株式会社FABRIC TOKYO 社外取締役
株式会社NTTドコモ コンシューママーケティング部 シニアマーケティングディレクター

自由なのは、経営者だからでも、男性だからでもない

―― 西井さんが自由に旅しながら仕事をしている様子を見て、それは“経営者”で“男性”だからできることだと言われたりしますよね。

西井:
そうそう。自由にやっているよねとよく言われるのですが、その中で、男性からは「お金持ってるから」、女性からは「男性だから」って。いやいや、お金が全然ない学生や20代の頃から旅していたし、女性でも同じように自由にやってる人おるわって。ね、古市さん。

古市:
そうですね。私も西井さんと同じような生活をしているので、「女性だから」はないと思うんです。「経営者だから自由でいいね」と言われることもありますが、私は雇われ経営者なのでいろいろ縛りはありますし、20代のサラリーマン時代のお金がないときからこんな生活をしていました。むかしは数十円・数百円のものしか食べなかったのが、今は旅の内容をちょっとアップグレードして、たまに数万円の人気高級店も行くようになったという感じです。ミシュラン三つ星とストリートフード、両方回りたいんですよ。

西井:
わかる、わかる。いや、本当にそうなんだよね。

古市:
最高級とふつう、両方を知らないと、その土地のことがわからないから。

西井:
幅ができただけだよね。もとがすごく「下」から入って、それが少しずつ「上」に伸びていったという感じで。

古市:
だからって、全部「上」にしたいわけでもなくて、トゥクトゥクだって全然乗ります。でも時間を買えるようになったので、今までは空港から市内に行くのにローカルの乗り物しか使っていなかったけど、最近はタクシーも使うようになったというのはありますね。

コムエクスポジアム・ジャパンの代表を務める古市さん

西井:
俺、飛行機はいまだにエコノミーしか乗ったことないですね。ビジネスに乗ったこと、ある?

古市:
出張でマイルが貯まるので、それでアップグレードしたりはたまにしています。でも、ビジネスにしたからって、シートの倒れ方やカトラリーの材質が変わるくらいだし。結局、私はどこでも寝られるのであまり変わらないですね。

西井:
宿も、普通のビジネスホテルでしょ?

古市:
そうですね。バックパッカー時代はシェアルームだったのが、いまはすべて個室になったくらい。あとは、体験として、良いところにも泊まるようになりました。高級ホテルとか、食事がおいしいお宿とか。

西井:
わかる、わかる。俺もおいしいご飯が大好きだから、日本や世界各地のおいしい店にも行くし、その辺にある屋台でも食べるね。

古市:
そうそうそう。

西井:
ほらね、全く同じでしょ。

―― 本当ですね(笑)

古市:
でも私、行った国自体はたった51か国なんです。世界の半分も知らないから、こうやって西井さんとバックパッカー対談に出るのは恥ずかしいんですよ。

西井:
いやいや。まあ、たしかに51か国は少ないね(笑)

イベントのゲストスピーカーの実家に遊びに行ったら、立派な古城でびっくりしたそう(フランス・ロワール地方)

社会人になったら、旅行に行けなくなると思っていた

―― ところで、お二人はどこで知り合ったんですか?

西井:
11年前、2012年のブランドサミットですね。ブランドサミットは現在古市さんが社長を務めるコムエクスポジアムが運営していますが、古市さんはまだ前職のサイバーエージェントにいて、たしか上司の代わりに参加していたんですよね。
俺はドクターシーラボに勤めていて、2回目の世界一周旅行に行く1年くらい前だったかな。そこで古市さんと旅行好きだという話になったんだよね。

古市:
そうですね。私はその当時、社会人になったら旅行に行けなくなると思っていたんですよ。だから、学生の間にとりあえず遠い南米から行っておこうと思ってバックパッカーをしていて。でも西井さんと出会ったことで、こういう大人がいるんだ、捨てたもんじゃないなと思いました。

西井:
じゃあちょっとは良い影響があったんだ。

古市:
すごくありましたよ。だって、当時はリモートワークという概念もなくて、それまでに会ったことのあるバックパッカーはみんな“世捨て人”みたいなものだったから(笑)

―― 以前はそんな印象がありましたよね(笑)前職では長期の旅行には行っていなかったんですか?

古市:
忙しかったので、長期では行けなくて、週末弾丸で無理やり行ってましたね。それで、旅行に行けない人生どうしようと思っていたら、西井さんという仕事しながらも海外に自由に行っている人がいることを知って。
その後、縁あってコムエクスポジアムのお仕事も知り、「もしかしてバリバリ働きながらたくさん旅行ができる人生もある?」と思ったんです。

西井:
何歳で転職したの?

古市:
24歳です。退職後はちょっと海外をフラフラしようと思って、アメリカ西海岸に短期留学しながら、メキシコやイエローナイフなど北アメリカ大陸をたくさん旅行しました。バーニング・マン(※1)にも行ったりして、ある日お金が尽きてしまったので、帰ってきたんです。
(※1)バーニング・マンとは…アメリカ北西部の人里離れた荒野で、年に一度、約一週間開催される祭のこと。

西井:
バーニング・マンに行ったらしょうがないね(笑)

下心で転職。バイトから社長へ。

古市:
その後アルバイトとして入社して、今もう8年目になりますね。

西井:
バイトから社長になったんだ。

古市:
そうですね。外資系の日本法人代表としてはあまり前例がないキャリアかと思います。

―― 最初から経営者になりたいと思っていたのですか?

古市:
全然です。入社の決め手は「海外出張に行ける」という邪な下心でした(笑)行き先も、あのイベントが面白いらしいから提携を打診してみようとか、ある程度は自分で決められましたし。

イベント視察でイスラエル出張へ

―― 出張と自分の旅行をセットにしたりなんかも?

古市:
していましたね。だいたい木曜中か金曜の昼までに仕事を終わらせて、週末にちょっと遠征して月曜の朝イチに帰国するというパターンです。

西井:
めっちゃ自由にやってるよね。

古市:
はい。働き始めて、水を得た魚みたいになりました。

「ad:tech tokyo」で司会を務める古市さん

日本のイベント仕事の合間に、1泊3日でヨーロッパへ

―― 古市さんのお話をうかがっていると、フットワークがすごく軽いなと思うのですが、デンマークのレストランに1泊で行ったというのは本当ですか?

西井:
そうそう(笑)「ノーマ」という、世界一のレストランと名高い有名店がコペンハーゲンにあって。そこは予約が本当に取りづらいんだけど、エストニアの友だちから3か月後に予約が取れたって連絡が来たんですよ。
俺は前にも行ったことがあって、良かったから本当に行きたかったんだけど、どうしても予定がつかなくて。このために海外に行ける、この価値を分かってくれる人は誰だろうと思ったら、1人しか浮かばなかったんだよね。それで、古市さんに「空いてる?」って聞いたら、「空いてます」って即答。たぶん空いてなかったとは思うけど。

古市:
空いていなかったけれど、空けました。2018年くらいの話で、まだ代表になる前でしたね。仕事の合間に1泊3日なら行ける!と。フライトとお食事代の合計金額が当時の家賃より高かったのですが、二度とない機会なので無理してでも行こうと思いました。
京都でのイベントのあと関空から飛行機に乗って、帰りは帰国した足で出張先の福岡に入って。コペンハーゲン滞在中は隣国スウェーデンにも行ったし、トランジットでヘルシンキのサウナにも行きました。

世界一のレストラン、デンマークの「noma」へも弾丸で

―― え、それは1泊3日の話をしていますか?

古市:
そうですね(笑)

西井:
さすが。

古市:
めっちゃ満喫しました。ありがとうございます(笑)

―― すごいですね。

古市:
私、ラッキーなことに体がとても丈夫で、体力があるんですよ。だから“足かせ”がなくて。最近知ったんですけど、普通ひとって「疲れちゃうかも」って考えるらしいんです。

―― 普通は、朝ヨーロッパから帰ってきて、そのまま地方の仕事に行ったりしないですからね。

古市:
私にとってデメリットは金銭面以外、何もないんです。高級ブランド品や車を買おうと思えば何十万や何百万かかりますが、旅行や食事はせいぜい数万から数十万円。それであんなに楽しいって、こんな趣味は他にないですよ。

西井:
本当にそうだね。俺はそれで半年先まで週末はほぼ空いてないですからね。

古市:
先に埋める派なんですね。私はけっこう空いているんですけど、そうするとキャンセル枠で思わぬ予定が降ってくるんですよ。「○○の予約が取れたけど来週どう?」とか。

西井:
あ、ちょっと後でまた誘います。

古市:
ありがとうございます。っていう(笑)

西井:
でも、大事だと思うんだよね。俺も、誘われて予定が空いていれば絶対に行くから。そうするとまた誘われるようになり、半年先くらいまで予定が埋まるって現状になってるわけなんだけど。

古市:
あと私は、社交辞令を真に受けちゃうんですよね。「今度うちの地元に遊びにおいでよ」って言われれば、本当に翌月くらいには行くので。それでよく国境も跨ぎます。

―― 相手もそれで本当に来てくれたらうれしいですよね。弾丸での美食といえば、前に西井さんもハワイに寿司を食べに行ってましたよね。

西井:
ああ、「すし匠」ですね。あれも1泊3日だったかな。

古市:
私も弾丸といえばパリ出張に行く途中のトランジットで、ロンドンの「ザ アラキ」というお寿司屋さんに行ったりしました。トランジットはコスパが良いんですよね。

西井:
トランジットは有効活用しないとね。お金がないときからそうしてましたね。今でこそ少し余裕ができたけど、それでも旅行とご飯以外に無駄なお金は使わないですから。荷物も少ないしね。

パリ出張と連休をからめて、2泊3日クロアチアへ

旅行とご飯にお金を使いたいから、家はいらない

―― 古市さんの場合は、1年半くらい前から家がない生活をされていますよね。

古市:
はい。旅行や出張が多いから家にいる日が極端に少ないのに、家賃や光熱費にお金がかかっているのがもったいないなと思って。特に以前はコロナ禍でホテルが安かったですし、いろんなところに泊って、いろんなものが見たいという思いもありました。
今は服も10着くらいしか持っていないですね。旅行と食事が好きすぎるから、そこに使うお金以外は全部削りたいんです。

西井:
女性の方が何かと荷物が多くなりがちだと思うんだけど、どうしてるの?

古市:
荷物がいらないように工夫していますね。たとえば、なるべく持ち歩く化粧品が減るように眉毛タトゥーやレーザー治療など美容施術は色々していますし、コンタクトがいらないようにレーシックとか、洋服が少ない分、アクセサリーで変化をつけるとか。洋服も薄くて軽くてシワにならないものを選んでいます。

西井:
なるほどね。

―― バックパッカーって、どうしてもスポーティな装いになりがちだと思うのですが、そのイメージとは全く違いますよね。しかも、それをスーツケース一つに収めて、年単位で暮らしているという。

西井:
ね。先日は女性誌(※2)にも掲載されて。おしゃれになってしまって(笑)

古市:
もともとバックパッカーってバレないんですよ(笑)

 

バックパッカー社長対談、後編へ続きます>>

後編のトピックス

  • 移動はノーカウント?移動はボーナスタイム?
  • 自分の目で見て、体験して、知ることが面白い
  • 旅と仕事の共通点
  • 自分が生き生きと仕事をすることが、一番大事

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