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【バックパッカー社長対談】旅とグルメを求めて人生をとことん楽しむ、女性社長の固定観念にとらわれない生き方<後編>

世界一と言われるレストランに行くために、1泊3日でヨーロッパへ行ったというエピソードや、“家が無い”という古市さんの生活の話も飛び出したバックパッカー社長対談・前編の続きです。後編では、二人の「移動」に対する考え方、そして旅と仕事への共通点などを語ります。

■後編のトピックス

  • 移動はノーカウント?移動はボーナスタイム?
  • 自分の目で見て、体験して、知ることが面白い
  • 旅と仕事の共通点
  • 自分が生き生きと仕事をすることが、一番大事

移動はノーカウント?ボーナスタイム?

―― お二人とも、直感で面白そうだと思ったら行動しますか?

西井:
旅行でも行く土地だけ決めて、現地で面白いところやおいしいお店を聞いて、そこに行くね。バックパッカーって、カバン一つだからすぐに行けるんですよ。荷物が大きくなればなるほど行けなくなる。仕事も同じで、背負うものが多くなると動きづらくなるんですよね。

―― なるほど。でも、実は固定観念で、自分でどんどん背負ってしまっているだけで、本当は手放せるものもあるのかもしれないですね。

古市:
身軽さは大事だと思います。私も自分だけで仕事をあまり抱えたくないんですよね。だから、権限移譲をすごくしてます。たぶん、私がいなくても会社は回りますね。 その状態にすることで、急なピンチにも臨機応変に対応しやすいし、新しいチャレンジもできる。

西井:
その経営スタイルも、俺と似てるな。

―― 今はどこにいてもオンラインで話せますしね。通じないのは、移動時間くらいですか。

古市:
最近は移動中も通じちゃいますよね。私、移動時間って好きなんですよ。座っているだけなのに目的が達成できて、同時に別のこともできるから、時間を無駄にしていない感じがあって。よく「出張帰りで疲れてない?」って言われるんですけど、私にとって移動は「ノーカウント」なんですよね。

西井:
どういう意味?

古市:
座っているだけだし、寝られるから、労りの対象にはならないというか。

西井:
わかるな。俺も移動時間は大好き。仕事とは違って、本読んだり映画見たり眠ったり、好きなときに好きなことができるからね。

―― ボーナスタイムみたいな感じですか。

西井:
マジでそう。

自分の目で見て、体験して、知ることが面白い

―― 古市さんが旅を好きになったのは、どういうきっかけだったんですか。

古市:
もともとはミステリーハンターになりたかったんです。学生時代は、芸能事務所に入ればオーディションを受けられるという噂を聞いたので、その世界に片足を突っ込んでみたくらい、ミステリーハンターになりたかったんです(笑)

西井:
何でなんだろう。

古市:
知らないところに行ったり、新しい体験をするのが大好きなんですよね。映画を観ていても本を読んでいても、その世界に行きたい、行って私もあれがしたいってなによりまず先に思ってしまいます。SNSをみていてもそう。

西井:
もともと好奇心が強いのかな。俺もたぶんそうなんだよね。それを実際にやっていくと、どんどん面白くなってきて。

古市:
そうなんですよね。中学時代、『24 -TWENTY FOUR-』という海外ドラマが大好きで。テロ対策ユニットの仕事現場をみに行きたいとアメリカ在住の親戚に相談したら「そんな危険なところに行っちゃいけません」って怒られました。でも、とりあえずロサンジェルスへは行く(笑)

西井:
危険だから行くなっていうのは、行ったことがない人が言うんですよね。

古市:
中国は怖いと思っていたら良い人だらけだったり、インドは汚いと思っていたら実はとてもキレイだったり、そういうのを自分で発見するのが楽しいんですよ。

―― 自分の目で見て、体験して、知らなかったことを知るということが面白いですよね。

西井:
実は、マーケティングにはそれが役立っているんですよ。人によって趣味嗜好や価値観が違うし、人種や国によっても違う。キャッシュレスも高齢者は対応できないって思われてるけど、中国でもフィリピンでも年齢に限らず進んでいますからね。そういう経験値が仕事にも生きているんです。だから、バイトから社長にまでなっちゃう(笑)

出張先での古市さん。アクティブな同僚たちと。

旅と仕事の共通点

西井:どうして社長になったの?

古市:
前社長が後任として私を推薦してくれたのがきっかけです。たしかに社歴は私が一番長かったですが、他に年上の先輩社員もいたし、外資法人らしくきっと海外から誰か後任が派遣されてくると思っていたので、自分がグローバルでも承認された抜擢人事には驚きでした。今思うと、若いアジア人女性リーダーに置くことで、企業としての多様性をアピールできるという意図もあったのかもしれません(笑)

西井:
外資の日本法人社長という立場だけど、自由度はけっこう高いよね?

古市:
他と比べると、高いと思いますね。そのために信頼関係はがっちり作ってありますし、今も強く意識しています。あとはとにかく成果をしっかり出すこと。社長に就任してからの半分はコロナ禍でしたが、すべてのイベントをウェブに切り替えて、週3~4回のウェビナー開催で一年ほど食いつないだり、粛々と業績を達成し続けているのも自由度につながっていると思います。

西井:
そういう適応能力が高いんだよね。俺も10年くらい前からオイシックスとシンクロを兼業してるけど、当時は「起業するなら1本に絞らないと成功しないよ」と言われていたし。でも、自分としてはやれる環境だったから、どっちも頑張ればいいんだろうと思っていました。流れに身を任せるというか、タイに行ったらラオスっていう良い国があるよって言われて、じゃあ行ってみまーすっていうのと同じノリなんだよね。

―― 旅の感覚と一緒なんですね。

古市:
確かにそうですね。ジェンダーという面でいえば、「周りが年上の男性ばかりの中で、大変じゃない?」ともよく聞かれますが、同じ日本人同士なので、私からすると全然コミュニケーションは問題なくて。それよりも、例えばボリビアの誰一人として英語がわからない環境で、「水を飲みたい」と伝える方がよほど大変なんですよ(笑)暑すぎて、命に関わりましたからね。

西井:
そうなんだよ。だから、大変そうだと言われることが、あまり大変に感じないんですよね。

古市:
旅先だと「嘘でしょ!?」みたいなことが、本当にたくさん起こりますからね。確かに男性中心のビジネス社会のなかでたまに違和感を覚えたりすることはありますが、まあ命に別条はないし大したストレスにはならないです。「それおかしいですよ」って言えばいいだけなので。日本だけを見ていると、サンプルが少ないから視野が狭まっちゃうだろうなと思います。

西井:
いろいろなパターンを見聞きしていると、選択肢が広がるんだよね。リモートワークだって、10年以上前にアメリカのバックパッカーの友人が社員全員リモートで会社経営をしているのを見ていて、全然できると思っていました。

自分が生き生きと仕事をすることが、一番大事

―― 仕事や経営で大事にしていることはありますか?

古市:
私は、自分が楽しそうに、生き生きと仕事をしていることが大事かなと思っています。もちろん大前提として成果はしっかり出しますけど、まだまだ日本には女性経営者が少ない中で、“ゆるふわ”代表として好き放題やっているのをみせたいですね(笑)
今いる女性経営者はいわゆる“スーパーウーマン”が多いので、ロールモデルにするのは難しいと思われがちですが、私を見て「あの人ぐらいになら私もなれる」って思ってもらえればいいなと。

有志参加者とのボランティア活動風景(Brand Summit/2022年沖縄)

西井:
あと俺がよく思うのは、自分が働きたい会社にしたいということですね。

古市:
もうまったくその通りです。そのためのルールを作って、1か月まるっと休めるようにしたりとか。

西井:
うちも休みは自由だし、どこで仕事をしても良いし。俺がそうしたいから、みんなもどうぞって。経営者が楽しそうにしていないと、誰もそうなりたいとは思わないですからね。

―― 本当に共感するポイントが多いですね。

西井:
ここまで同じことを言う人はいないよね。だから、性別や立場を気にする必要はないし、変に遠慮する必要もないんですよ。みんな、もっと自由に生きたらいいと思いますね。

古市:
そうですね。「でも・・・」と言わずに、楽しんでいいと思います!私のような人でもやっていけるわけですから(笑)

おわりに

“ゆるふわ”という言葉も出ましたが、実際にお会いするととても親しみやすく、周りの雰囲気をパッと明るくしてくれる古市さん。
「私自身が楽しそうに、生き生きと仕事をしていることが大事」という言葉が何より印象的でした。仕事で成果を出しながら、経営者自身が好きなことを思いっきり楽しんでいる姿は、一緒に働くメンバーたちにもいい影響を与え、結果的に事業もうまくいきやすくなるのかもしれません。
二人とも、もともと体力があり、おなかを壊すことがあまりないなど、“旅人スキル”が高いというアドバンテージもありますが・・・(笑)、前例や常識に縛られずに、好きなことを諦めない姿勢は、誰でも取り入れられるのではないでしょうか。一人ひとりが、もっと自由に、もっと楽しく生きるヒントになればと思います!

撮影協力

1日1組限定 リノベーションされた一棟貸しの古民家宿「るうふ」
インタビューは「るうふ蔦の家」のシアタールームにて行いました。

るうふ 蔦の家

【バックパッカー社長対談】

旅とグルメを求めて人生をとことん楽しむ、女性社長の固定観念にとらわれない生き方

【前編】の記事はこちら

  • 自由なのは、経営者だからでも、男性だからでもない
  • 社会人になったら、旅行に行けなくなると思っていた
  • 下心で転職。バイトから社長へ。
  • 日本のイベント仕事の合間に、1泊3日でヨーロッパへ
  • 旅行とご飯にお金を使いたいから、家はいらない

【後編】※このページ

  • 移動はノーカウント?移動はボーナスタイム?
  • 自分の目で見て、体験して、知ることが面白い
  • 旅と仕事の共通点
  • 自分が生き生きと仕事をすることが、一番大事

プロフィール

古市優子さん
コムエクスポジアム・ジャパン株式会社 代表取締役社長

慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、サイバーエージェントを経て2013年よりdmg::events(現Comexposium)に入社、2019年に同社代表取締役社長に就任。欧州大手イベントオーガナイザーComexposium Groupにおける最年少Managing Directorとなる。
日本国内では主に ad:tech tokyoをはじめとした、マーケティング・広告・コマース・デジタル領域のカンファレンスを企画運営を総指揮。2022年以降はビジネスイベントのプロフェッショナルとして従事する傍ら、企業の社外取締役や、全米広告主協会が取り組む「SEEHER」推進役も兼務。日本の組織や社会におけるDE&Iの推進に向けて、各種講演やアドバイザー業務など、精力的に活動中。
J.S.A.ワインエキスパート、趣味は旅行とワイン。

西井敏恭
株式会社シンクロ 代表取締役社長

1975年5月福井県生まれ。金沢大学大学院修了。
2001年から世界一周の旅に出る。帰国後、旅の本を出版し、ECの世界へ。2014年に二度目の世界一周の旅をしたのち、シンクロを設立。大手通販・スタートアップなど多くの企業のマーケティング支援やデジタル事業の協業・推進を行う。
株式会社グロースX 取締役CMO
オイシックス・ラ・大地株式会社 専門役員CMT
鎌倉インターナショナルFC 取締役CDO(チーフデジタルオフィサー)
株式会社FABRIC TOKYO 社外取締役
株式会社NTTドコモ コンシューママーケティング部 シニアマーケティングディレクター

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