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配給は米とニワトリ2羽? ロックダウンから1か月のフィリピンと、仕事に対する考え方の変化

先日、「ロックダウンから二週間。フィリピンで起こっていること」という記事を書きましたが、そこからさらに二週間経ち、フィリピンのロックダウン(都市封鎖)が始まって1か月が過ぎました。

3月16日に発令された、enhanced community quarantine=「強化されたコミュニティ隔離措置」は、当初は4月13日までの予定でしたが、4月30日まで延長されました。

*具体的な生活についてはこちらの記事をご覧ください。

家で過ごし、リモートで仕事をして、数日に一度近くのスーパーやコンビニで買物をし、夜はたまに友人とzoom等で顔を見ながら乾杯するという生活も1か月が経ちました。

現在フィリピンでは、日の感染者数が100~200人で、4月頭の数値からはやや落ち着いてきているようです。
ですが、ロックダウンされても劇的に感染者数が減るわけではなく、長期戦の必要性を感じています。

仮に当初の予定通り、1か月でコミュニティ隔離が解かれて、みんながまた一斉にもとの生活に戻ったら、感染者が爆発してしまうのでは・・・と思います。

そんな中、日本など海外の報道では“過激派”とも言われるフィリピンのドゥテルテ大統領が相変わらず世間を賑わせています。

大統領が「射殺」を容認!?

フィリピン大統領が「射殺」を警告
隔離措置に従わず、警察に対して抵抗した者は射殺していいと言ったという報道です。

ドゥテルテ大統領と議員給与寄付
こちらは、大統領は給与全額、閣僚ら200名は2020年4月から12月までの月給の75%を寄付するという記事です。

ドゥテルテ大統領(CNN.co.jpより)

大統領の過激発言については、大臣が「大統領は国民のために日々努力している。言い方は荒いが、すべて国民の安全を考えた上で発言だ」とフォローするなど、発言の揚げ足が取られることはあまりありません。

実際に自分の給料をコロナ対策に寄付し、連日深夜に及ぶ対策会議で疲れた様子ながらも、会見で国民に本音で語りかける姿を見ると、一人ひとりができることをやろうという気になります。

フィリピンでは、食料品の配給も行われているのですが、びっくりするようなこともあります。

配給は生きたニワトリ

食糧の配給は、自治体(=『バランガイ』と呼ばれる最小行政地区)単位ごとに行われているのですが、私の友人が住むエリアでは、生きた鶏が配られたそうです。

米と生きた鶏、2羽!

この友人は、マニラから南へ50キロほどにある「タガイタイ」という町に住んでいます。
治安もよく、標高が高くて夏でも涼しい気候のため、避暑地としても有名な場所。
友人はそこで語学学校と会社を経営しています。

ニワトリ・・・

中南米やアフリカを旅しているときも、ローカルマーケットではよく生きた鶏がそのまま売られていました。
処理していない分、安く手に入るのだと思いますが、生きるためには鶏をさばくスキルが必要なんですね・・・。

友人は、配給された品を近隣の住民にシェアしたそうです。

ほかの自治体では、米、インスタントの袋麺、クラッカー、サバ缶・ツナ缶などがよく配られているそうです。

なお私が住んでいるのは、ビジネスエリアのマカティという場所で、居住者は外国人が多いこともあり、実際に配給を受け取ったことはありません。

 

先日、以前までうちに週1回来てくれていたメイドさんから連絡があり、「お金がないから送ってほしい」と言われました。
配給や政府からお金の援助もあったものの、ロックダウンが延び、生活が苦しいようです。

せめて自分が関わっているフィリピン人にはサポートをと送金サービスを使ってお金を送りましたが、貧困層に影響が出始めていることを感じています。

送金サービスのお店の前(少し並びました)

「仕事」に対する考え方の変化

シンクロでは2月下旬から全スタッフがフルリモート勤務を始めたので、もうすぐ2か月が経とうとしています。

私はもともとフィリピンに住んでリモート勤務をしており、日本より早くからロックダウン(都市封鎖)・外出禁止の暮らしになって感じていることは、「仕事があることのありがたさ」です。

物理的な移動(会社へ通勤する、とりあえず人と会って話をするなど)がなくなり、より「何をすべきか」という本質を考える機会が増えたように思います。

距離は離れていても、仕事を通じて信頼関係や仲間意識が芽生え、それが精神的な豊かさに繋がっていて、これまでより仕事のありがたみを強く実感するようになりました。

シンクロの仲間たちとの雑談「おやつタイム」。この日のテーマは恋愛について。

不思議なことに、この2か月で日本との距離が近づいたような気がします。

これまでは、私と日本のメンバーの間にどうしても距離を感じることもありましたが、全員リモートになったことで、私が海外にいると感じることが少なくなりました。

人と人の間の距離感は相対的なものだったという気づきがありました。

 

日本でもこの機会に多くの人がリモート勤務・テレワークになったと思いますが、コロナ終息後には「仕事」の概念が大きく変わっていくのではないでしょうか。

多くの仕事はリモートでも成立することが分かり、住む場所や勤務体制のとらえ方も変わっていくかもしれません。

一方で、医療関係、販売・サービス、食品・飲食、物流、通信・インフラなどその場に人がいることで成立する仕事も多くあり、そういった方々のおかげで、私たちの日々の生活が支えられていることを忘れてはいけないと思います。

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