持続を可能にして、終わらせない
西井:
3つ目は何でしょう?
星:
3つ目は持続可能なシステムをどう設計するか、ということだと思います。いくらマーケットの三角形を大きくしても、それをキープできるような仕組みを考えなければいけませんが、20世紀型の経済理論やビジネスモデルは歪みや痛みを伴うものが多かった気がします。たとえば環境にやさしいものを選ぶから儲からない、ではいけなくて、正の循環でそれらが持続的に回る仕組みをちゃんと考えなければいけませんね。
西井:
それは、先ほどの小さな経済をちゃんと回せば大きなところにも適応するというようなお話とも通ずるものですよね。
星:
まさにその通りです。大きなものをバーンっと打ち上げるのではなくて、小さなものから、ひとつの細胞からちゃんと活かすっていうところをやることは、持続のコツでポイントだと思います。そこには、4つ目である「デジタル」の力や強化も当然必要になってくる。
西井:
そうですね。観光業だけではありませんが、みんなスマホも持っているのに「デジタル」と言われると途端に自分の仕事ではないような気がしてしまう、ということがありがちですよね。
星:
そうですね。他方で、お年寄りにスマホ持たせてデータを入れろって言っても無理があるので、協業化であったり、低コストでそういうことを任せられるようにしたり、いろんなビジネスのチャンスをあげることが大事かなと思っています。
西井:
インフラの整備ですね。事業者単位だとなかなか難しいことだと思うのですが、国としてのフォローがあるということでしょうか?
星:
そうですね。まずは協業化しやすい環境整備。API(※注1)の連携をしやすくする、といったことはもちろん、観光地づくりの教科書がないので雛形が必要なものは雛形化していきたいですね。
西井:
いいサンプルがあれば、その教科書作りをぼくたちが手伝いますよ。そういった人手の確保も必要ですね。
星:
そうなんですよ。まちづくりや地域経営のTODOリストを作って、そのときに必要な資本はこういうもので……ということをちゃんと整理して用意したいですね。観光地化が少し進んでいるところも、今のステージからどう昇華させるかというのは、具体的なプロセスアップの手法を提示していかないとなかなか難しいことだと思うので。
西井:
まずは小さな成功例のサンプルでもいいかもしれませんね。大事なのは、小さいところから作っていくっていうことでしょうから。
星:
そうです、その通りですね。
(※注1)「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」。ソフトウェアやプログラム、Webサービスの間をつなぐインターフェースのこと。