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5年ぶりに参加した「ダイレクトアジェンダ」で学んだ5つのこと

マーケティングの本質と、ブランドとパートナーの理想的な関係性とは?
5年ぶりに参加した「ダイレクトアジェンダ」で学んだ5つのこと

原です。シンクロに仲間入りして1年ほどが経ち、自身の業務としてD2C領域の自社事業への関わりや支援企業も増加してきました。
改めてD2C領域のインプットを増やすため、ダイレクトマーケティングに携わる事業主、パートナーが一堂に会する宿泊型カンファレンス「ダイレクトアジェンダ」に5年ぶりに参加して、学びとなった点やポイントをレポートしたいと思います。

ダイレクトアジェンダとは
今年で7年目となる、ナノベーション主催の直販・通販事業に携わるマーケッターが250名集結する宿泊型のカンファレンス。
(2023年は鹿児島の城山ホテルで3/23~25に開催、参加の半数以上の方が初参加)

カンファレンス最終日のラップアップで突然指名を受け、登壇させていただいた場面(一番右)

ダイレクトアジェンダでの学びとポイント

(1)コンフォートゾーンを抜け出すことが新たな学びを加速させる

宿泊形式のカンファレンスで、ダイレクトマーケティングに携わる方250人(事業側とパートナー企業ほぼ半数ずつ)が集まる機会は他になく、多くの企業の方と深い話ができ、自身では気づかなかった発見、学びがありました。

ある方が、「コンフォートゾーンを抜け出すためにこの会に参加した」という話をされておりましたが、自身の事をよく知っている人間関係(いわゆる居心地がよい空間)よりも、普段接しない方と話したり、議論する機会は、思いがけない考え方に触れることができます。
コロナで新たな出会いが少なくなっていた中で、改めてコンフォートゾーンを抜け出し、色んな方に出会うことの重要性を感じた会でした。

(2)購入ファネルで見たCPA、CPOの前の指標を意識する

開催初日のキーノートセッション「ダイレクトマーケティングの現在と未来。今後3年間で起こるイノベーションは何か?」の中で、「事業拡大していくために大切にしていること」のパートにて。
サントリーさんの話されていた内容について個人的に解釈したのは、「ダイレクト通販のKPIはCPAとCPOでがんじがらめになっているが、そのKPIだけを追いかけているとターゲット顧客が中長期視点で枯渇してしまうリスクがある」ということ。

特にダイレクト通販で見落としがちになる購入ファネルで見た際の購入前のKPI、購入意向・想起・認知を購入から逆引きしてどれくらいのボリュームゾーンがあるか(あるべきか)を定点で捕捉する必要性を改めて認識しました。

代表西井がモデレーターを務めた、初日のキーノートセッション

(3)製品は永遠のβ版

上述のキーノートセッションで、アンカージャパンCEOの猿渡さんが話されていたワードです。
ダイレクト通販は、事業コストの差配で広告にコスト配分を傾斜する企業が多いですが、ダメなプロダクトにどれだけ広告を打っても、大きな事業スケールは難しく、投資対効果も悪くなります。

改めてお客様やコールセンターの声を聞き、ある評価を下回るプロダクトは上市しないなど明確な基準を持ち、基幹商品にリソースを集中し、磨き続けることの重要性に改めて気づかされたセッションでした。

(4)マーケスキルを可視化する「スキルトラッカー」

2日目のセッション「事業成長を実現するダイレクトマーケの組織・人材育成とは」で、「ボタニスト」「サロニア」などのブランドを手がける株式会社I-neの執行役員、伊藤さんが話されていたマーケティングスキルの可視化について。
I-neさんの急激な事業成長の歪みから起きた、非常に生々しい離職率の状況を踏まえ、その危機感から経営が真剣に向き合った人材育成の事例でした。
グロースXと協働で可視化したマーケスキル(スキルトラッカー)を元に、上司と部下がしっかり話し合うことで、その企業で伸ばすべき自身のキャリアプランを明確にし、マインドセットを行う手法は、多くの企業でも参考になるのではと思いました。

*「マーケティングスキルトラッカー」詳細はこちら https://lp.grtx.jp/skill-tracker

I-ne伊藤氏登壇、「事業成長を実現するダイレクトマーケの組織・人材育成とは」

(5)クリエイティブ制作領域におけるAI実装の本格化

当日の数あるパートナーセッションで1位を獲得した電通デジタルのムゲンエーアイ。
参考記事:広告クリエイティブを革新する「∞AI(ムゲンエーアイ)」を開発

クリエイティブの制作プロセスに分解して4つのAIでクリエイティブを定量化し、PDCAを回すツールが登場したこと。クリエイティブ制作業務の全てをAIに依存する訳ではないですが、クリエイティブを考えるベース部分を機械が代替し、人と機械が協働しながら、効率よく、確度高く、顧客のインサイトに沿った訴求PDDCAを高速で回すこと。

SNSからも情報収集し、独自の訴求軸をベースに自社で訴求しているクリエイティブの改善点を競合と比較して定量的に訴求の差異を可視化し、改善効果予測から、改善クリエイティブを提案してくれるツールの登場は、自身が本当にフォーカスすべき業務は何かを今一度考え直す大きな波紋になると感じました。

ブランドとパートナーの理想的な関係性とは

ラップアップに登壇
ラップアップディスカッションに選ばれたメンバー

最終日のラップアップディスカッションで突如指名を受け、登壇させていただくことになりました。
そこでも話しましたが、5年ぶりに参加させていただき感じたのは、マーケティングの本質についての議論が多く為されていたことです。
5年前は「このツールでCPA、CPOが改善した」というHOWの話が非常に多かったですが、今回は、顧客理解、プロダクト、ブランディング、などWHOとWHATに関する話が目立ち、目線を上げる機会になりました。

また、ブランドとパートナーが一緒になって話す事例が多く、ブランドとパートナーが顧客起点で「誰にどんな価値を届けるか」という理想の関係性が改めて目立つカンファレンスでした。

ダイレクト通販ではパートナーにもデータを開示しない企業が多いですが、ブランド側は(もちろん守秘契約を結ぶことが前提ですが)パートナーにデータを開示し、パートナー側はツールを使って消費者の理解を深め、解決策を提示するという関係性が深まると、より一層ダイレクト業界の未来は明るいと感じた次第です。

今回の学びを実業に活かして参ります。

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