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新しいお客さんを連れてくるUGCのつくり方 〜生成AIを活用した、UGC分析・企画の実践フレーム〜

新しいお客さんを連れてくるUGCのつくり方

こんにちは。シンクロの國延(くにのぶ)です。

私は新卒でネット広告代理店に入社し、広告運用を専門としていました。その後、個人でInstagramの旅行アカウントを立ち上げ、約20万人のフォロワー規模まで増やすなど、こうした経験から、広告だけでなく、人が自然に情報を広げたくなる「仕掛け」に興味を持つようになりました。

現在はシンクロで、企業のマーケティングチームに入り込み、SNS活用をはじめデジタルマーケティングを支援しています。

その中で、多くの企業からこんな相談を受けます。

「SNSが大事なのは分かるけど、何を目的に運用すればいいのか分からない。」

「どんな数字を見れば成果が出ていると言えるのか分からない。」

SNSというと、「フォロワーを増やすこと」や「バズること」が目的になりがちです。もちろん、それらも一つの成果です。

ただ私は、企業がどれだけ発信したかではなく、ユーザーがどれだけ商品・サービスについて話してくれたかが大事だと考えています。

その鍵となるのが、UGC(User Generated Content)です。

そして生成AIは、UGCからユーザーを理解し、企画を考える上で活用しやすいと日々感じています。

本記事では、実際のデータや私自身のAI活用も交えながら、UGCを起点としたSNSマーケティングの考え方と実践方法をご紹介します。

UGCは本当に「次のお客様」につながるのか

UGCとは、一般ユーザーによって作られたコンテンツのことで、SNSへの投稿や口コミ、レビュー、ブログ記事などが該当します。

UGCが重要なのは、「ユーザーの声」が購買を後押しするからです。SNSで誰かがおすすめしている商品を買ったり、口コミを参考にレストランや旅行先を決めたりした経験がある方も多いのではないでしょうか。

Glossom社の「ソーシャルコマースに関する定点調査2022」によると、購入を後押しする情報源として、「口コミ・まとめ・比較サイト」「SNS」が店頭に次ぐ上位を占めています。

購入を後押しする情報源

出典:Glossom「ソーシャルコマースに関する定点調査2022」より引用 

UGCの価値は、こうしたユーザーの声が、次のお客様の興味や購買のきっかけになることにあります。

企業が一方的に商品の魅力を伝えるのではなく、お客様が商品・サービスの魅力を発信する → その投稿を見た人が興味を持つ → 商品名を検索する → 新しいお客様になる

という循環をつくることができます。

UGCの価値

実際に弊社で分析しているデータでも、XでのUGC数と指名検索数には強い相関性が見られています。

過去に、あるエンタメ系サービスで「何が指名検索の増加につながっているのか」を調べるため、公式XやInstagram、YouTube、TikTokなどの各SNS指標と、X上のUGC数をもとに重回帰分析を行いました。

その結果、複数のSNS指標の中でも、X上のUGC数が指名検索数と最も強い関係を示しました。分析上の理論値では、UGCが1件増えるごとに、指名検索のインプレッションが数件増えるという結果も見られました。

検索・UGC_相関グラフ

もちろん、これは特定のサービスにおける分析結果であり、UGCが増えれば必ず同じだけ検索が増えるというものではありません。

それでもこの結果から、企業からの発信量だけではなく、「ユーザーがどれだけ商品・サービスについて話しているかが、新しいお客様の興味を生み出す一つの重要な指標になると考えています。

ただし、「UGCなら何でもいい」わけではありません。

大切なのは、まだ商品・サービスを知らない人が見たときに、「ちょっと気になる」「使ってみたい」と思えるUGCが増えることです。

そのためには、投稿数だけでなく、「何ならユーザーが投稿したくなるのか」「どんなUGCが次のお客様の興味につながるのか」を考える必要があります。

事例:どうやってUGCは生まれるのか

ユーザーが「誰かに伝えたい」と思うきっかけをつくることで、UGCは増やすことができます。

例えば、アサヒビールが販売する「未来のレモンサワー」は、缶を開けると本物のレモンスライスが浮かび上がるという特徴があります。

参考:Yahoo!ニュース エキスパート「ついに再販!数量&期間&地域限定「未来のレモンサワー」を初体験してみたら…!?」

「缶を開けたらレモンが浮かんできた」という驚きがあり、思わず写真や動画を撮って誰かに見せたくなる。商品体験そのものに、UGCが生まれるきっかけが設計されていると感じた最近の事例でした。

また、無形サービスの例では、PayPayが2018年に実施した「100億円あげちゃうキャンペーン」があります。

決済金額の20%還元に加えて、抽選で決済金額の全額が還元される仕組みが用意されていました。

高額な買い物をした際に「全額還元された」という体験は、それ自体が人に話したくなる出来事です。実際にSNSでも、還元された決済画面とともに喜びを共有する投稿が多く見られました。

参考:月刊ネット販売「100億円還元キャンペーン、わずか10日で終了――実店舗向けスマホ決済の『PayPay』の今後は?」

このように、商品であれば「見せたい」、キャンペーンであれば「得したことを教えたい」など、人が誰かに話したくなる理由を商品やサービスの中につくることが、UGCを生み出す第一歩です。

そして、理想的なのは、そのUGCが次のお客様を生み出す状態です。

1. 投稿したくなる商品・体験をつくる
2. 体験したユーザーがSNSに投稿する
3. 投稿を見た人が商品・サービスに興味を持つ
4. 検索・購入・来店などの行動につながる
5. 新しく体験した人が、またUGCを生み出す

こうした循環が生まれることで、UGCは単なる「SNS上の話題」で終わらず、新しいお客様との接点になると考えています。

実践編:生成AIを使ってUGCを分析・企画する

自社の商品・サービスでUGCを増やすために、私が普段実践しているのは、次の4つの分析・設計のステップです。

4つの分析・設計ステップ

私自身、UGCの分析や競合比較、企画の壁打ちに生成AIを活用しています。ここからは、実際に行っている4つのステップをご紹介します。

STEP1. 自社のUGCを集め、AIで傾向をつかむ

まずは、自社についてどんなUGCが生まれているのかを確認します。

私自身、ソーシャルリスニングツールから数千〜数万件のUGCデータを取得し、生成AIに読み込ませて分析しています。

見るのは、「どんな文脈で語られているか」「どんな利用シーンが多いか」「どんな価値が評価されているか」といった点です。

生成AIを活用することで、大量の投稿からこうした傾向を整理しやすくなりました。ツールがなくても、まずはXでブランド名を検索するだけでも多くのヒントが得られます。

STEP2. 競合のUGCと比較し、「自社にない発話」を見つける

次に、自社と競合それぞれのUGCをAIに読み込ませ、その違いを比較します。

「競合では多いが自社では少ない話題は何か」「評価されている価値や利用シーンにどんな違いがあるか」を見ることで、単に投稿を眺めているだけでは気づきにくい「自社ではまだUGCになっていない価値」が見えてきます。

例えば、「商品の機能性についてもっと投稿してほしい」と考えているのであれば、同じような機能的価値を持つ競合商品では、その価値がどんなシーンや言葉でUGCになっているのかを分析してみます。

どんなきっかけをつくれば理想のUGCが生まれるのかを考えていきます。

STEP3. 「投稿したくなる理由」からAIと企画を発散する

次に、ユーザーが「なぜ投稿したくなるのか」を考えます。

前の章で紹介した「未来のレモンサワー」であれば「見せたい」、PayPayであれば「得したことを教えたい」というように、UGCの裏側にはユーザーが誰かに伝えたくなる理由があります。

私は、こうした「投稿したくなる理由」は、次の5つに分類できると考えています。

投稿したくなる理由 5つの分類

この5分類は、AIとの企画づくりにも活用できます。

私はSTEP1・2で分析したUGCデータと商品情報をAIに与え、5つの投稿動機それぞれから企画案を発散するという使い方をしています。

AIに答えを求めるのではなく、AIで発散し、人が選び、磨くという使い方です。

STEP4. ユーザーが話しやすい言葉に磨く

「投稿したい」と思う理由があっても、何と書けばいいか分からなかったり、使う言葉が難しかったりすると、実際の投稿にはつながりません。

そこで最後に考えたいのが、ユーザーが投稿しやすい状態をつくることです。

私は次の3つの観点をもとにAIと壁打ちし、一度出たアイデアを深堀りしていきます。

4-① 商品の魅力を、ユーザーが表現しやすい言葉にする

「安い」「ラク」のような分かりやすい価値はUGCになりやすい一方、専門的な価値はユーザーが表現しづらいことがあります。

例えば食品では、さまざまな魅力があっても「おいしい」の一言に集約されがちです。そこで「香りがいい」「〇〇だからおいしい」など、商品の魅力を表現しやすい言葉を提示することで、口コミを書きやすくなります。

4-② 企業の言葉ではなく、ユーザーの言葉を使う

企業が使いたい言葉と、ユーザーが普段使っている言葉は、必ずしも同じではありません。

例えば、動画配信サービス「Lemino」で配信されていたアイドルのオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」は、ファンの間で「日プ」と呼ばれています。

SNSの声を分析し、ユーザーが実際に使っている言葉を選ぶことが重要です。

4-③ 短く、覚えやすい言葉にする

ブランド名やハッシュタグが長い、覚えづらい、入力しづらい。それだけでも投稿のハードルは上がります。

例えば、ドラッグストアの「ウエルシア」でポイントを活用してお得に買い物をすることを、SNS上で「ウエル活」と呼ばれています。「ウエル活してきた」のように、ユーザー同士でも話題にしやすくなります。

ユーザーが簡単に使える略称やハッシュタグを企業側から提案することも一つの方法です。

おわりに

今回は、UGCが新しいお客様につながる理由と、生成AIを活用したUGCの分析・企画方法について紹介しました。

生成AIによって、大量のUGCを分析し、企画につなげることは以前よりも取り組みやすくなっています。

一方で、大切なのはAIに答えを求めることではなく、実際のユーザーの声を起点に、「なぜ話したくなるのか」を考えることです。

AIをユーザー理解や企画のパートナーとして活用しながら、ぜひ自社ならではのUGCづくりに取り組んでみてください。

【プロフィール】

國延 亮輔 シニアコンサルタント SNSスペシャリスト

國延 亮輔
シニアコンサルタント
SNSスペシャリスト

2016年に新卒でFringe81(現Unipos株式会社)に入社。広告運用に従事した後、西日本向け広告事業を行う子会社の立ち上げに参画し、取締役として広告運用・オペレーション組織を管掌。

2021年から食品D2Cスタートアップで、マーケティングを中心にプロダクト開発やCSなど幅広く事業グロースに携わる。

2023年にシンクロへ入社。データ分析を起点としたコミュニケーション戦略の設計を強みとし、UGC分析からSNS戦略・コンセプト設計まで支援。大手動画サービスでは、1年でUGC数約10倍、オーガニック流入数約20倍の成長に貢献。

個人でも旅行系Instagramメディアを立ち上げ、約20万フォロワーまで成長。各SNSのアルゴリズムを踏まえた戦略設計を得意とする。

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