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現場と経営をつなぐKPI設計とCRM 3年ぶり成長率反転を実現した支援事例

現場と経営をつなぐKPI設計とCRM 3年ぶり成長率反転を実現した支援事例

はじめまして、シンクロの幡谷です。前職は広告代理店で約10年ほどクリエイティブを専門としていました。シンクロに入社してからの2年間は、自分にとって大きな転換期でした。

入社前もマーケティングの基礎は備わっているつもりでしたが、それをきちんと言語化し、再現性を伴わせることができるようになったのは、代表の西井をはじめ、シンクロの仲間からの刺激があったからだと思っています。そんな環境の中で、私は様々な企業のマーケティング現場に社員の一員として参画し、KPI設計の見直しやCRM改善を実行してきました。この記事では、私が支援した企業で3年ぶりに成長率が反転した事例をもとに、「現場のPDCAと経営KGIをつなぐための考え方」と実践したことをお伝えします。

成長率115%反転の起点は、現場と経営のKPIをつなぐことだった

成長率115%反転の起点は、現場と経営のKPIをつなぐことだった

現場の担当者が懸命にPDCAを回しているのに、なぜか経営の数字が動かない——そんな状況に、心当たりはないでしょうか。

メールの開封率やCTR、公式サイトの流入数と離脱率。現場はこれらの数字を日々追いながら改善を重ねています。一方、経営会議では売上や顧客数といったKGIが報告されています。しかしその2つが本当につながっているかどうかは、誰も正確に説明できない。これは特殊なケースではありません。私がこれまで支援してきた企業でも、規模の大小を問わず繰り返し目にしてきた、構造的な問題です。

根本的な原因は、KPIツリーの整理が現場の末端まで落とし込まれていないことにあります。経営KGIはある程度整理されていても、「この現場施策が、どの中間KPIを動かし、最終的にKGIにどう影響するか」という構造が描けていないケースがほとんどです。現場の担当者が自分のアクションと組織全体の成果を結びつけて考えられなければ、どれだけ施策の質を高めても成果には結びつきにくいのです。

では、実際にどう解消したのか。ある金融系商材を扱う大規模組織のマーケティング部門での支援事例をもとにお話しします。

課題の発見

支援開始当初、現場が見ていたのは施策前後のKGIのリフト値でした。「そのリフトは本当にその施策が要因なのか」という問いに、誰も答えられない状態でした。メールの開封率やCTRでPDCAを回そうとはしていましたが、それらの数値変化がKGIにどう影響しているかは整理されていませんでした。

顧客分析から「理想の体験」を見つける

まず定量分析として、顧客の利用金額と利用頻度を軸にロイヤリティの高低を定義し、両者の行動差分を掘り起こしました。その結果、休眠顧客が復帰しやすいアクションや、ARPUの低い顧客群がロイヤル化につながりやすいクロスユースの接点が明確になりました。

ロイヤル顧客とその他顧客の行動差分を抽出し、ロイヤル顧客が利用しているサービスや体験を特定

さらにN1インタビューを通じて顧客の実態を掘り下げると、より具体的な行動パターンが見えてきました。この企業では利用に伴いポイントが貯まる仕組みがあり、「ポイントが貯まった瞬間」の告知と認知を促し、「ポイントが使えて便利だ」という体験サイクルをいち早く回すことが、さらなる利用・購買につながるというものがありました。また、ポイントを動機とした契約初期のクロスユース促進がロイヤル化に大きく寄与することもわかりました。これがこの企業における「理想の体験」だったのです。

定量データの見える化とN1インタビューを組み合わせることで、ファクトをベースとした精度の高い仮説が生まれるようになります。チーム全体が同じ目線で動けるようになり、施策のスピード感も大きく上がる。このスピード感の変化が、成果に直結していきます。

施策の実行

この「理想の体験」を多くの顧客に届けるため、オウンドメディアのコミュニケーションを顧客フェーズに応じた出し分けへと切り替え、新規顧客へのステップメールも刷新しました。中間KPIをKGI達成から逆算して設計し、ダッシュボードで定点観測できる環境を整えると、日常的に数値の変化についての会話がチーム内で生まれるようになります。数字が「報告のためのもの」から「意思決定のためのもの」へと変わった瞬間でした。

結果

経営KGIは前年比115%成長を達成し、それまで年々右肩下がりだった成長率が3年ぶりに前年を上回りました。現在も前年比115〜117%水準で実績を伸ばし続けています。

おわりに

現場のPDCAと経営KGIをつなぐ構造をつくることが、組織の成長に直結すると信じています。それは一度設計して終わりではなく、顧客分析を積み重ね、PDCAを回し続ける中で少しずつ精度が上がっていくものです。

シンクロは、社員の一員として現場に入り込み、KPI設計の見直しから実行支援まで一気通貫で関わるスタイルをとっています。まだまだ道半ばではありますが、その確信を胸に、これからも愚直にやり続けていきたいと思っています。

【プロフィール】

幡谷 ふみ

幡谷 ふみ(株式会社シンクロ)
シニアコンサルタント
クリエイティブパートナー

クリエイティブ組織の部門長を経て、プロフェッショナル職として広告領域全般の品質向上に従事。2024年1月にシンクロ入社。支援している大手企業にて課長職に就き、KPI設計の見直しとPDCAの高速化をチーム全体で推進し、現在も継続的に支援を続けています。

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