「大切なことはお客さんが教えてくれる」
月の半分は地方へ。全国を飛び回る“観光のプロ”がシンクロで取り組む新しい挑戦とは

社員コラム | 2023-03-31

熱海の老舗ホテルに19年間勤務したのち、シンクロに入社した“観光のプロ”、武さん。シンクロでも地方や離島の活性化や観光事業を担当しています。月の半分は全国を飛び回っている武さんに、これまでのキャリアから今後の展望などを聞きました。
(聞き手:シンクロ広報 植嶋)

隠岐諸島・西ノ島の国賀海岸

「みんなが楽しんでいるのが好き」世界一周の旅から観光業界へ

植嶋:
武さんが入社して1年以上経ちましたね。改めて武さんについていろいろお聞きしたいと思います。よろしくお願いします!

武:
よろしくお願いします。1年あっという間でした。

植嶋:
武さんももともとバックパッカーですが、大学を卒業してから旅に出たんですか?

武:
大学生のときに東南アジアを旅行して、遺跡の素晴らしさを感じました。ですが遺跡以上に、その地域での生活や文化など“人の営み”に触れることが私にとって有意義でした。それが旅の醍醐味だと思ったので、大学を卒業してから世界一周に出たんです。「実際にその場で起こっていること」を見て感じることが私にとっての旅の楽しさでしたね。

植嶋:
旅はどれくらいの期間だったんですか?

武:
2000年から1年間、アジア・ヨーロッパを中心に40か国ほど放浪しました。1年というのは最初から決めていたし、安宿の旅に少し疲れてきたこともあり、日本に帰って就職しました。

シラーズにてイランの女子高生と(2000年)
タイ(2000年)

植嶋:
分かります(笑)就職するにあたって、最初から観光に関わる仕事をしようと思っていたんですか?

武:
小さいときから母親と日本全国いろいろなところに旅行に行って、みんなが楽しんでいるのを見るのが好きでした。ですので、ホテルやテーマパークなど観光に携わる仕事に興味がありましたね。

幼少時代、母とよく旅行に

ちょうど熱海の老舗ホテル「ホテルニューアカオ」の東京営業所の求人があり、入社しました。もともと小田原出身で熱海は近く、花火や海と山があって、いい場所という印象を持っていました。一方で、団体旅行客の減少もあり、一番目立つ場所にあるホテルが閉業していたりと、熱海にとってはとても厳しい状況でした。

植嶋:
そうだったんですね。東京の営業所ではどんな仕事をしていたんですか?

武:
主に旅行会社への営業です。パンフレットに載せてもらったり、ツアーに組み込んでもらったりして、団体旅行の候補にしてもらうんです。その後、予約対応をするコールセンターの責任者や、マーケティング・セールス部門も経験しました。

植嶋:
ホテルニューアカオには、トータル20年近く在籍されていたんですよね。その中でも印象的だった仕事は何でしたか?

武:
ホテル部門のマーケティング・セールスが特に長く15年やっていたのでいろいろありますが、大物歌手のディナーショーや、韓国好きを活かして韓国人俳優や韓国人グループのファンミーティングを誘致したり、世界的に有名な大手IT企業のセールスミーティングを2年連続で誘致したりしたこともありました。

インスタ映えで庭園がブームに!売上大幅アップに貢献

植嶋:
すごいですね!ホテルの仕事って幅広いんですね。ホテル部門以外の仕事も担当されたんですよね。

武:
そうですね。社長室に配属された時には、季節ごとのイベントを考えたり、新しいカフェや新大浴場棟など新規施設を担当したりと、幅広い経験をさせてもらいました。
また、ホテルに併設された庭園(ハーブ&ローズガーデン)があり、そこの新規カフェのプロジェクト担当や庭園全体の責任者も務めていました。

庭園は、どうしても花のシーズンによって年間の利用者数に大きなばらつきがあり、しっかりと利益を出せる体制にするために打ち手の必要がありました。季節ごとにお花を変えるなどの工夫もしていましたが、花好きをターゲットにしているだけでは、なかなかお客さんが増えません。

庭園は海がきれいに見える場所だったのですが、庭園に来てくれているお客さんの行動を見ていたら、景色を喜んでいる方が多くいると気づきました。首都圏から来るお客さんが多いのですが、ふだん見られない海の景色を楽しんでいるのに気づきました。

オーシャンガーデン

植嶋:
なるほど!花を見に来ているだけでなく、その空間を楽しんでいるというか。

武:
そうなんです。実際、SNS投稿も花より景色の写真が多くて。お客さんから魅力を教えてもらいましたね。
そこからは景色を楽しんでもらうための様々なしかけで、写真を撮りたくなる、長く滞在したくなるような空間作りを考えるようになりました。

植嶋:
インスタ映えランキング1位になったんでしたっけ?

武:
はい。おかげさまで。インスタ映えと打ち出したことはなかったのですが、インスタでも人気になり、熱海女子旅スポットとしていろいろなメディアにも取り上げられるようにもなりました。
庭園にあるブランコはもともと花と一緒に写真を撮ってもらう想定だったのですが、角度によっては海とブランコしか写らないため、“熱海の空中ブランコ”として話題になったんです。

2年間で入園者数は2倍近くになり、赤字状態から利益が大きく出るようになりました。「入園者数を増やす」「お金を落としてもらう」といった小手先の施策ではなく、お客さんがどうしたら楽しんでくれるか、メンバーともそれを共有していましたね。

植嶋:
すばらしい取り組みですね。熱海自体も最近人気ですよね。

武:
そうですね。シニアの町から若い人が集まる町に変わっていった熱海自体の勢いとも相まったと思います。

ホテルニューアカオは建物が古かったのですが、それがレトロとして若い人など一部の方から新鮮で人気でした。これもレトロ好きの方を招待して、ホテルの良さを若い方の目線で見ていただいて教えてもらったことです。
一般的にホテルはリニューアルするとホームページなどでも新しい部分を打ち出しがちですが、自分たちが売りたいことではなく、「お客さんが何を喜んでいるか」を見るのが大切だと思いますね。

「観光」×「デジタル」という新しい挑戦へ

植嶋:
武さんの話を聞いていると、「お客さんが喜ぶこと」を本当に考えているのがよくわかります。ですが、その着眼点を持ち続けるのはなかなか大変だと思うのですが。

武:
ありがたいことに、世界一周の経験や小さい頃から日本国内の多くの場所に連れて行ってもらった経験から、客観的に見ることができるのかもしれません。これまで行った旅先でも、推されてるポイントが違うと感じることがよくありました。
それは今の仕事でも活きていて、ホテルや観光地側がこだわっていることが、実はお客さんの満足度と相関関係がないということがあり、改善の提案をしていけたらと思います。

植嶋:
武さんのシンクロでの仕事の話に入ってきましたが、西井さんとはゴルフ仲間だったんですよね?

もともと西井とはゴルフ仲間

武:
そうですね。西井さんとは同時期に世界一周をしていた旅仲間の集まりで出会い、15年来の友人です。ゴルフにはまった時期が同じで、月1くらいで一緒にゴルフに行ってましたね。
アカオの経営方針が変わったタイミングで、別の場所で挑戦したいと思って退職を決めたのですが、ちょうどアカオ本館閉業のニュースを見た西井さんから連絡がありました。

植嶋:
西井さんが絶妙なタイミングで連絡してきたんですね。

武:
そうですね。ありがたかったですよ。ほかにも観光関連で声をかけてくれたところがいくつかあったのですが、私がずっとやってきた「観光」に「デジタル」を掛け合わせるという新しい挑戦に惹かれて、シンクロに入社しました。

今は、隠岐の島にあるホテル「Ento」にてスタッフの皆さんと一緒に、運営計画作成から集客のお手伝いなど、シンクロの観光事業を担当しています。ほかにも、小豆島の新しい観光施設の開業のお手伝いや、対馬での新規事業を進めています。

植嶋:
全国、離島も含めて飛び回っていますよね。

武:
月の約半分は家にいない生活ですが、それ以上に西井さんの移動の多さにも驚いています。ゴルフ仲間時代から、マーケティング業界での活躍は知っていましたが、実際一緒に仕事を始めて、こんなに旅と仕事を両立できる人間がいるんだと驚きましたね(笑)

隠岐「Ento」にて

植嶋:
対馬での新規事業は、るうふさんと進めているんですよね?

武:
そうです。対馬で古民家宿事業を手掛けることになりました。るうふは、山梨や千葉に現在10棟の一棟貸しの古民家宿を展開されていて、どの施設もリノベーションにより快適性を備えていて、魅力的です。それぞれ地域性やコンセプト、ターゲットが違うため、画一的ではなく、その施設ごとにあったマーケティングを推進しようとしています。

植嶋:
本当に素敵な宿ですよね!シンクロメンバーでもよく利用させてもらっていて、最近の合宿の定番会場ですね。希望者を募って実施している「ワーケーション」でもみんなで一緒に過ごす古民家の居心地がよく、メンバー同士の交流の場になっています。

武:
三世代旅行に最適な宿や、ペット連れOKの宿、サウナのある宿など多彩なので、その施設ごとの優位性、独自性を伝えていければと考えています。

庭で焚火が楽しめる「澤之家」
「蔦之家」の鉄板で夕食の準備中!

お客様を笑顔に。地元の人たちと一緒に地方や離島の魅力を伝えたい

植嶋:
武さんは長く観光に携わってきて、また今も地方都市や離島に頻繁に訪問して、いろいろ気づくこともあるのではないでしょうか。

武:
ありますね。アカオを辞めたあと、数週間かけて瀬戸内海をめぐる旅をして、日本の地方ならではの魅力を感じましたね。ただ、観光スタイルが多様化している中、いまだに団体客を目当てにした観光関連施設が多く、残念に感じることもありました。
たとえば離島は、海を越えないと行くことができない分、地域の文化が残っている、とても魅力ある場所です。もっとその魅力を伝えて、現地ですばらしい顧客体験を積んでもらう。そんないいUGC(※1)作りをお手伝いできたらと思いますね。

※1 UGC=User Generated Contents。企業ではなく、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのこと。

対馬にて

植嶋:
シンクロメンバーにはどんな印象を持っていますか?

武:
皆さんそれぞれの分野でスペシャリストとして活躍している方ばかりで、とても刺激的です。仕事も遊びも真剣で、まさにHOLICCの理念(※2)を実践していてかっこいいと思います。

※2 どうせやるなら徹底的にやる。仕事も旅も遊びも、突き詰めた先にこそ価値はあり、中途半端なことはしない。

また、顧客目線・第三者目線で物事を見られる人たちで、私自身もそれに気をつけているつもりですが、より深い視点で考えていて勉強になりますね。年齢差を感じさせないニュートラルな雰囲気で、敬意を払いながらも距離感が近く居心地がいいと感じています。

植嶋:
たしかに。上下関係のないニュートラルな組織ですが、ベースに敬意があって成り立っているのかもしれませんね。

では最後に、これからやりたいことなどを教えてください。

武:
マーケティングと観光の力で、離島の活性化を進めていきたいと思っています。
離島のほとんどが人口減少という課題を抱えていますが、リモートワークが進み、移住や2拠点居住など、以前より新しい取り組みをしやすい時代になったと思います。また、移住でなくてもその地域に関わる「関係人口」を増やすことは可能だと思っています。
たとえば今、対馬の宿事業を進めていますが、祖先を含めて多くの対馬出身者が島外にいて、「自分のルーツを知りたい」と思っている人も多いと思います。そのような方たちに島に滞在してもらってルーツを知ってもらい、島に愛着を持ってもらうことで、その後の関係人口になってもらえるのではないかと思います。

日本の地方には本当に魅力がありますし、各地域のプレイヤーのみなさんたちは本当に精力的に活動されていて、とても感銘を受けます。
まずは今お手伝いさせていただいているクライアントさんのやりたいことを実現し、その上で事業として顧客を笑顔にできるように、丁寧に進めていけたらと思っています。

植嶋:
武さんの人柄と、お客さんに寄り添う姿勢がよく分かるお話ですね。旅人の多いシンクロだからこそできる、地方や離島の活性化や観光事業、今後も楽しみにしています!

       

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