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~ワールドカップ現地観戦と仕事の概念の変化~

「社会人になったら長期海外に行けない」と思っていた大学生がカタールで見た、旅をしながら仕事をする会社
~ワールドカップ現地観戦と仕事の概念の変化~

シンクロでは、ワールドカップを現地で観戦することが恒例となっており、2022年に開催されたカタール大会でも代表の西井をはじめ社員の半分が現地に行っていました。「シンクロハウス」と呼ぶ一軒家を共同で借りて、仕事を通常通りこなしながら、夜はサッカー観戦に出かける日々。

そんなシンクロハウスに、ひょんな縁から現地で知り合った3人の大学生も寝泊まりすることに。「現地観戦は社会人になる前の今回が最後」という思いで現地に来ていた大学生たちは、シンクロの自由な働き方を目の当たりにして仕事への概念が覆されたそうです。

そこで、その大学生たちに、カタールでの体験談やそこで感じたことを聞きました。

人物紹介

萩原 雅之(インタビュアー)
シンクロの新卒社員。オーストラリアでプロサッカー選手として活動していたという異色の経歴を持つ。西井や先輩社員とともにカタールに2週間滞在し、ワールドカップを観戦。
(写真は、ドイツ戦に日本が勝利したあと、日本のテレビ局のインタビューを受け、興奮しすぎて『ドイツに勝った!』を連呼したときの様子が放送されたもの)

持田 温紀さん
中央大学法学部3年生。大学のサッカー部に所属し、部のスポンサーの獲得や、地域・社会貢献活動のプロデュースなどの活動のコーディネートを行う。
*持田さんの記事
車椅子になった僕がワールドカップのピッチにたどり着くまで(note)
自慢の足が動かなくなっても…車いす大学生が抱く、中大サッカー部で成し遂げたい夢(AZrena)

北澤 太一さん(写真左)
一橋大学経済学部4年生。以前は外資系メーカー、現在は人材系サービスの会社でインターンをしている。コンサルティング会社に就職予定。カタールが初めての海外。

近藤 峻至さん(写真右)
一橋大学経済学部4年生。北澤さんと大学のゼミで知り合う。コンサルティング会社に就職予定。ヨーロッパ16か国を回ったバックパッカー旅の経験あり。

ワールドカップで、初めての海外へ

萩原:
カタールでのサッカー漬けの日々は楽しかったですね!みなさんは以前から海外には行ったことはあったんですか?

北澤:
本当に最高の経験でした。僕は今回のカタールが初めての海外でした。

近藤:
今回は2回目の海外で、初めての海外旅行ではバックパッカーとしてヨーロッパの16カ国をぐるっと周りました。実は、もともと本が好きで、シンクロ代表の西井さんが出している世界一周の本を読んだことがあって。ほかにも世界一周の本をいろいろと読む中で、海外に行ってみたいと憧れてバックパッカーになりました。
『世界一周 わたしの居場所はどこにある!?』(西井敏恭著・2013年7月 幻冬舎)

持田:
僕もカタールが2回目の海外です。少し前の9月に鎌倉インテル(※1)のインターンシップで、シンガポールとマレーシアに行ったのが初海外でした。
※1 鎌倉インテル・・・鎌倉インターナショナルFC:シンクロが出資する神奈川県社会人リーグのサッカーチーム

萩原:
鎌倉インテルでは僕も一時期プレイしていたことがあります。ちょうど昨年末にリーグ優勝を果たし、神奈川県1部への昇格が決定しましたね!

持田:
おめでとうございます!あとでまた詳しく話しますが、僕は鎌倉インテルの海外研修がきっかけで、今回カタールに行くことになったんです。

シンガポールでの海外研修の様子

前回の開催時はまだ10代。4年後、まさか現地で観戦するとは

萩原:
みなさん、前回のワールドカップのときはまだ10代ですよね。前回のワールドカップはどこで見ていたんですか。

北澤:
高校3年だったので、受験期でした。サッカーは大好きでしたが、そもそも現地観戦なんていう概念がなく、テレビを通して日本を応援するものという感覚で、自宅で見ていました。

持田:
僕は、ちょうど車いす生活になって間もない頃で。精神的にまだつらい時期だったので、あれからたった4年でまさか現地に行くことになるとは思いもしなかったですし、今でも本当に行ったのかと自分でも衝撃ですね。

萩原:
本当にそうですね。4年前は現地観戦なんて想像もしていなかったと思いますが、今回現地へ観戦に行こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

持田:
先ほど話した、鎌倉インテルの海外研修インターン(※2)がきっかけでした。研修で行ったマレーシアでは、日本代表が初めてワールドカップの出場を決めた「ジョホールバルの歓喜」のスタジアムに行ったんです。日本のワールドカップの歴史が始まった場所に行ったという興奮のまま、次は日本のワールドカップの歴史が変わる瞬間を見たいと思いました。

そしてその研修の最終日に、半年以内の目標を話すことになり、「カタールワールドカップ現地観戦」と宣言したことで、本当に行くことになってしまったという感じです。
※2 海外研修インターン=「アフターコロナ時代のアジア越境チャレンジプログラム 〜すべてのボーダーを越えてゆけ。〜」詳細はこちら

萩原:
鎌倉インテルの人たちも現地に行くことが決まっていたので、完全に行く流れになりますよね(笑)

持田:
はい(笑) でも、その研修で海外生活でのマインドを教わり、背中を押してもらいました。

この2か月後、本当にカタール現地へ!

近藤:
僕は幼稚園からずっとサッカーをやっていて、高校も都大会ベスト8に進出した学校に入ってガチでやるくらい、サッカーが好きだったんです。ヨーロッパでプレミアリーグやチャンピオンズリーグを見て、やっぱりサッカーっていいなというのを再確認して。リーグとは違うワールドカップも見てみたいと思って、宝くじ感覚でチケットに申し込みました。
でも、チケットの抽選に外れてしまったのですが、それがすごく悔しくて執着してしまい、先着順のチケット販売で6~7時間粘ってチケットを入手できたので、北澤を誘いました。

それから、カタールに行く前に北澤とも話していたのが、社会人になったらワールドカップのために現地に行くなんてことは絶対にできないだろうと。今回がラストかもしれないと思ったのも大きいですね。

萩原:
最後だから行こうというのが、強い動機になったんですね。

縁が繋がり、シンクロハウスに滞在することに

萩原:
では、カタールに着いてから、シンクロメンバーと出会うまでの経緯を教えてもらえますか。

近藤:
まず、宿泊先のホテルの受付で、たまたま隣に座っていたFABLIC TOKYO社長の森さんと知り合いました。森さんから「日本人の方ですか」と声をかけてもらい、そこから同じ試合を見に行くという話になって、一緒に行動することになったんです。

僕は、ヨーロッパのサッカー観戦でスポーツビジネスに興味を持ったので、カタールではそういう仕事をしている人の話を聞きたいという目標がありました。それを森さんに話したら、これからJリーグのマーケティングをやっている西井さんという人とご飯を食べに行くから一緒に来る?と誘っていただいて。行ってみたら、なんとその西井さんは、僕が中学生のときに読んでいた世界一周の本の西井さんだったんです。

さらにそのときに、明日からホテルを取っていなくて宿泊先を探しているという話をしたら、部屋が余っているから、シンクロハウスに来ないかと誘ってもらって、北澤と2人で転がり込んだという感じです。

萩原:
作ったような偶然ですね!

近藤:
逆にこんなにうまくいって大丈夫かなと不安になるくらいでしたね(笑)

萩原:
海外って、本当にそういう偶然の出会いがあるんですよね。

北澤:
海外にいると、周りにいる日本人に気軽に声を掛けられるし、短時間で距離が縮まるんですよね。僕にとって初めての海外でしたが、それが本当に海外の旅の魅力なのだなと感じました。

海外では思いもよらない出会いも
ガンバ大阪などで活躍した元日本代表の橋本英郎さんも一時シンクロハウスに滞在!

萩原:
持田くんのシンクロハウスに来るまでの経緯を教えてもらえますか。

持田:
僕は、シンクロハウスの前に、鎌倉インテル代表の四方さんが借りた「ヨモハウス」に滞在していたのですが、カタールに行く3日ほど前に、ヨモハウスとシンクロハウスのメンバーでオンラインの顔合わせがありました。そのときにシンクロの皆さんと話して、フランクで楽しそうな人たちだなと思い、カタール行きがさらに楽しみになりましたね。

ワールドカップやカタールでの滞在があまりにも楽しく、日本代表の躍進もあって、帰る日程が決まっていたものの、滞在を延長したいという思いが湧いてきました。そのとき、日本が勝てばシンクロメンバーが滞在を延長するかもしれないと聞いて、それも含めて日本の勝利を祈りましたね(笑)

萩原:
実は西井は、日本代表がさらに勝ち進んだら、重要な社員合宿を延期しようとしていましたからね(笑)

「仕事よりワールドカップの方が大事」と社長が宣言(社内チャットより)

持田:
そうだったんですか(笑)もう本当にサッカーのこと以外考えられなかったような時期でしたね。
それで、日本の決勝トーナメント進出が決まって、メンバーの大半が滞在を延長したシンクロハウスに僕もお世話になることになりました。

衝撃を受けたシンクロの働き方。仕事の概念が変わった瞬間

萩原:
カタール滞在中は、どのように過ごしていましたか。

北澤:
僕たちはシンクロハウスに無料で泊まらせてもらう代わりに、家事などを引き受けることになっていたので、基本的に午前中は洗濯やご飯の用意をして、午後は自分の卒論やインターンのミーティングに取り組んでいました。そして、夕方か夜から試合を見に出かけていました。

でも、シンクロの皆さんはカタール現地時間の朝3時(※日本の朝9時)から起きていて、現地夜10時からの遅い時間帯の試合に行ったあとなんかは、1時間くらい仮眠して仕事を始めていました。僕が朝8時や9時に起きると、何食わぬ顔をしてパソコンに向かいながら、すでに何件も打合せをこなしていて、マジか、と(笑) 本当に驚きでした。

萩原:
サッカーを最優先しつつ、日本の仕事もフルでやってましたからね。

近藤:
僕も北澤と同じようにシンクロハウスの家事をしながら、卒論や勉強、読書、あとはオンラインの家庭教師のバイトもたまにやっていました。僕は寝るのが遅かったので、夜中の仕事は僕、朝の仕事は北澤という形で、家事はなんとなく手分けしていましたね。

シンクロハウスでの一場面。スタジアムに行かない日もみんなでサッカー観戦。

萩原:
現地では何試合くらい見たんですか?

北澤:
最終的に20試合は行きました。

萩原:
すごい!

北澤:
でも、シンクロの皆さんも仕事をしながらそれをやっていましたよね(笑)

萩原:
西井は、北澤くんや近藤くんがリモートでインターンや家庭教師のバイトをしているのを見て、「時代だな」と驚いていましたよ。

近藤:
そうなんです。僕もカタール行きを見越して、カタールでも日中は時間があるだろうからと、オンラインでできる家庭教師のバイトを選びました。日本の放課後にあたる時間がちょうどカタールの朝10時くらいで、試合と重なることなくバイトができて良かったですね。チケット代の足しくらいにはなったかなと思います。

萩原:
持田くんはカタールではどんな生活をしていましたか?

持田:
僕も、バイトや部活、寮などのオンラインミーティングにときどき参加していましたね。日本代表が勝って盛り上がっていたので、僕が現地からミーティングに出たらより盛り上がるのではないかと思って参加していた節もあります(笑)

シンクロの皆さんを見て、旅をしながら仕事をする会社があるんだということに衝撃を受けました。ワークライフバランスという言葉もありますが、一般的にはなんだかんだワークという軸の上にライフがあるように感じていたところを、シンクロではこんなにもライフがメインにあり、その上に仕事があるのだなと思いました。皆さんが本当に毎日楽しそうに過ごされていたことも印象深いですね。

萩原:
やりたいことを諦めないという感じですよね。「ワールドカップを現地で見たい」、「旅をしたい」という思いをまずやると決めて、そこに仕事を組み込んでいくみたいなところはあると思います。大人の本気遊びですよね。

持田:
そうですね。どこまでできるかという本気を感じました。

萩原:
カタールでは、車いすで生活する上での不便さもあったのでは思いますが、どのように感じましたか。

持田:
実は、メトロの移動もスタジアムの中もサポートが徹底されていて、驚くほどアクセシビリティが良かったんです。少し困ったことがあっても、ヨモハウス・シンクロハウスの皆さんを含め、世界中の人がどこに行っても手伝うよと声を掛けてくれました。それに救われましたし、自分自身も勇気をもらったと感じます。

日本v.s.コスタリカ戦でピッチに

萩原:
車いすを押して移動すると小さな段差に気づいたりして、半分当事者になってみて初めて分かることがあるのだなと思いました。それが僕らとしても良い経験になりましたよね。

近藤:
本当に。車いすの人と生活することがあまりなかったので、その困難さも分かりましたし、どこまで手伝った方がいいのか、手伝いすぎるのも変だしなと悩んだりもしました。

北澤:
その経験を通して、普段から何気なく通っているこの道はバリアフリーの観点だとどうなのだろう、と考えるきっかけにもなりましたね。

さまざまな気づきや発見のあったカタール滞在

持田:
僕も皆さんに助けていただいて、すごく充実した時間にすることができました。今は国籍や障がいも含めて「共生社会」と言われるようになってきていますが、僕はその前に重要なのが「共有社会」だと思っています。その中で、同じ時間や行動を共有できたことがすごく嬉しいと思いますし、ワールドカップを通して世界中の人と同じ場所で同じ興奮を共有できたことも、すごく幸せだったなと思っています。

萩原:
それが旅の醍醐味ですよね。さらに持田くんは、国歌斉唱で吉田麻也選手と並んでピッチに立ったのがニュースになりましたよね。

持田:
今思えば、まさかまさかの出来事でした。

持田さんのTwitterより

“ライフ”に合わせて仕事をコントロール。ボーダーを越えていきたい

萩原:
最後に、皆さんはこれから社会人になられるので、今後の展望を教えてください。今回のカタール滞在やワールドカップ現地観戦の経験を経て、どのように感じましたか。

北澤:
僕たちがカタール行きを決めたのは、社会人になったらもう行けないだろうという思いがあったからです。でも皆さんに出会ってその概念が変わりました。今後自分が社会人になっても、自分のライフに合わせて仕事をコントロールできるようにしていきたいですね。

近藤:
僕は、就職活動があまり好きではなくて。お互いがお互いの上辺だけを見ている感覚があったので、よく学生が言う「人の良さで決めました」という言葉にも、そんなわけないだろとずっと懐疑的でした。

でも、シンクロの皆さんを見ていて、やっぱり人って大事なんだとすごく思って。海外旅行では、国内旅行よりもいろいろな人と話すことができるので、その中ではセレンディピティ(※3)がすごく大事だと考えています。シンクロという会社自体がそれに溢れている会社だと思うので、自分もそういった環境をつくったり、そこに所属したりできると、自分にとっても周りにとっても良い影響を与えられるのかなと思いましたね。
※3 セレンディピティとは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。

北澤と、ああいう大人になりたいよなと話しているのですが、西井さんにも言われたように、今回受けた恩を次の世代に繋いでいきたいと思っています。

西井の帰国前に記念撮影

持田:
僕は、半年で2回も海外に行った経験を経て、自分の中にグローバルという観点が芽生え、それが大きなものになりつつあります。なので、グローバルに活躍していけたらというのが、一つ思うところです。

また、鎌倉インテルでは「CLUB WITHOUT BORDERS」をビジョンに掲げているのですが、ボーダーを越えるということを、僕も様々な場面で大事にしていきたいと思っています。僕が車いすであるということに限らず、誰の日常生活にも実はボーダーだと感じていることが溢れていると思うのですが、それは気持ち次第で乗り越えられるということを、シンクロの皆さんの過ごし方・生き方から教えてもらいました。これからもそう感じたことを大切にしていきたいと思っています。

僕はワールドカップの現地観戦に連続出場すると決めたので(笑)、また4年後も現地に行こうと思っています。今回、現地で本当に世界中の人たちと仲良くなれたことを感じました。ワールドカップはサッカーの枠を越えた文化だなと思いましたし、そのワールドカップが創り出す平和の虜になったので、これからもずっとそれを感じていきたいと思っていますね。

萩原:
皆さん、それぞれめちゃくちゃいい話ですね。この縁がこの先も絶対に仕事やプライベートで繋がっていくと思います。今日はお話を聞かせてもらい、ありがとうございました。

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