ミシュランシェフによるプライベート食事会を開催しました
社員コラム | 2021-03-05
こんにちは、シンクロの櫻井です。
1月にシンクロメンバーで新年会として開催した食事会のレポートです。
これまでは、年末に忘年会を兼ねた社員旅行(主に海外)へ行き、そこから社員それぞれ自分の旅に出るのが、シンクロの年末年始の過ごし方でした。
今回はおとなしく日本で過ごしていましたが、2020年12月のある日、弊社西井からこんな提案が。
「最近知り合った手島シェフがめちゃくちゃイケてて、みんなへの日頃の感謝も込めて一席もうけたいんだけど、どう?
20代でフランスに渡ってミシュラン獲得したフレンチのシェフで、コロナの関係で20年ぶりくらいに日本に帰国してるんだって。」
社員一同、大歓喜。
僕ら旅好きなメンバーは、「一生に一度できるかどうかの体験」というものにめっぽう弱いんです。
代表の西井は「人の成長は、自分の経験の延長線じゃないエクストリームな体験と、めちゃめちゃすごい人に出会うこと」といつも言っています。
そんな理由で、シンクロでは過去に社員がモンゴルやブータンに強制的に連れて行かれたり、ボクシングの世界チャンピオンのパンチを体験する会(1人肋骨やられてました笑)とか定期的にエクストリームなイベントが開催されています。
昨年は、このご時世で残念ながら中止になりましたが、社員全員でパプアニューギニアの民族祭りに参加する予定で、「なんやそれ」と思っていました。
でも、今日みたいなやつなら大歓迎!
そんな経緯で、手島シェフの特別フレンチコースという、一生に一度の新年会が決定しました。
僕たちが感じた感動を、少しでも味わっていただければ嬉しいです。


フレンチシェフ「手島竜司」とは?
まず、手島シェフについて紹介します。(すでにご存知の方も多いかもしれませんが)
プロフィール
手島竜司
1976年熊本県生まれ。
2006年に渡仏。地方から始まり、パリの「ルカ・カルトン」を経て、様々なレストランのシェフを務める。
同時に精肉店と食材店での修業やベルギー研修などの経験を積む。
2014年にパリ16区の凱旋門付近に「Restaurant PAGES(パージュ)」を開く。
2015年、ゴーミヨにて’Grand Chef de Demain’(未来の巨匠)を受賞。同年、店の隣にビストロワインバー「Le 116」を開く。
2016年、オープンから1年半という早さで「PAGES(パージュ)」が、ミシュランガイドにて1つ星を獲得。
同年、パリ市長から食の金メダルを受賞。同時に熊本市長から熊本親善大使に任命される。
2020年パリ郊外に大型のラボを新設。2021年パリ8区にパージュ・パティスリーをオープン予定。
手島シェフの輝かしい経歴に隠された裏話も、最後の方に少しだけ紹介します。
さて、当日は銀座にあるキッチンスペースを利用して、メンバーだけのプライベートな空間で準備していただきました。(もちろん、消毒や換気もきちんと行いましたよ!)
今回はコテコテのフレンチフルコース、というよりも、「自分の食べたいものを作った」という手島シェフ。
せっかくなので十品すべて紹介させてください。
ただ、実物は写真の10億倍以上の輝きを放っているということをお忘れなく。
一品目
「麹菌を使った、松坂牛の生ハムです」


味を表現するボキャブラリーが大変少ないのですが、とにかくおいしい。なんと朝から松坂に行き、仕入れてきてくださったそう。
「麹菌を使う料理は日本しかない。」
と語るフレンチシェフ。
正確には、麹菌は日本限定ではなく、アジアを中心として使われているそうですが、醤油や味噌・お酒を作るために利用される麹菌は別名「ニホンコウジカビ」とも呼ばれ、他の国より多く使われていることは確かです。
世界遺産にもなった「和食」のうま味成分を引き出すもので、日本食には欠かせません。
日本とフランスのハーモニーが始まりました。
二品目
「しじみのスープです」

深いコクと、しじみのエキスが凝縮されたスープ。全然足りませんでした。
「フランスでは魚のスープを出しますが、今日はしじみと手羽先の出汁を取ったスープにしました。お酒を飲む人は、最初にしじみが出てくると嬉しいですもんね。」
お酒大好き社員、大歓喜。
「ちなみに今日のお酒は、ナチュラルワインを持ってきています。」

ナチュラルワインとは、化学肥料や化学薬品を使わないもので、種類もいろいろとあるようです。
見た目の特徴としては、ワインにぶどうの搾りかすが残っていたりします。オーガニックな感じが伝わってきていいですよね。
三品目
「ブランデーとハーブで漬け込んだ、ワタリガニです」

どんな味なのか想像もつかない。下から押し上げて、吸うようにして食べるといいですよ、とのこと。これって吸うんだね?
よく見ると、漬け込まれた身が本物のゼリーみたいになっていたんです。吸いながら食べると、少しエスニックな味がして、フランスではなく東南アジアの情景が浮かんできました。(いいのかな)
四品目
「どうぞ、きのこのソーセージです」

きたーー肉ーーー!!(ん?きのこ?)
しかも目玉焼きついてるーーーー!!
ようやく知っている名前が来て、はやく食べたいとウズウズしながら手島シェフの説明を聞きます。
「このソーセージなんですが、肉はつなぎとしてしか使っていません。基本的にすべてきのこで作っています。だから“きのこのソーセージ”なんです。」
どうやったらこんなものができるんだろう。肉厚でジューシーなのはもちろん、食欲をそそるきのこの香りがたまりませんでした。

スペインなんかでは、きのこを目玉焼きの卵につけて食べる風習があるようです。たまらんです。
余談ですが、今回使ったきのこはフランスでよく食べられている「ピエブルー」と「ピエムトン」という2種類とのこと。
「ちなみに次は、カリフラワーのロティを用意しています」
すかさず質問。ロティってなんですか?
「ロティは、オーブンでじっくり焼き上げることです。ちょうど、焼き上がった状態がこんな感じ。」

こんな風になってるカリフラワーは初めて見ました。
他のメンバーも、普段ならできない体験の連続に、テンション上がりまくりです。どんな料理が出てくるんだろう。
五品目
「お待たせしました。カリフラワーのロティです。松坂牛を使ったキーマカレーのソースをつけてどうぞ。」

「上の黄色のものは、フランス産のコンテチーズです。」
予想外のキーマカレーの登場。ですが、これがすばらしいアクセントになりました。
ほくほくしたカリフラワーに、少しスパイシーなキーマカレー、2つをつなげるチーズ。一瞬で全部なくなってしまった。
「ナチュラルワインって、カレーとかスパイシーなものに合うんですよ。」
へえ、そうなんですね。たしかに合いますね。でも、もう少し飲んでみないとわからないかな。うーん、あともう1杯。

六品目
「あなごのフリットと洋梨です」

うますぎた・・・。
さくっふわっのあなごと洋梨が、こんなに合うなんて。それに、上にかかっているブルーチーズソースが洋梨の甘みを和らげてくれている。あれ? これってデザート?
七品目

よかった。まだ終わりじゃなかった。しかも、肉だ。
というか、さっきのカリフラワーもそうですが、シェフの作業をこんな直近で見られるのがすごいですよね。ガン見してました。
そして出てきたのは…
「フランス・シャランの鴨を七輪でゆっくり焼きました。上には、はちみつとスパイスで作ったコンポートを添えています。」

鴨の肉のうまみも噛みごたえも最高です。甘すぎないコンポートも、うまみをより引き立てます。
舌鼓を打ちながらワインを爆飲みする我々。幸せ。
八品目
「次はこちら」

なんですか?これは・・・
いいんですか?こんなの本当にいいんですか?

「炭で仕上げた松坂牛です。ソースも何もなし。お好みで塩をつけて食べてください。
三重では、薪で焼いたりもするんですよ。」
声を失う我々。肉が輝きすぎて、目が見えない。

おいしい!
「これは12、3歳の肉です。2ヵ月ほど熟成してます。
熟成は、年齢や肉のポテンシャルに合わせてしています。ですが基本的には、若い肉だと生きながらに熟成していないので、肉になったとき、熟成には耐えられないんです。」
・・・なるほど。生きながらにして熟成をした松坂牛、ということですね。
全くどうやるのかはわかりませんが、とにかく美味しいです。
「フランスではくさいのを嫌がることもありますからね。脂身もそこまで強くないと思います。」
その言葉の通り、くさみもなく脂身も少なかったです。上質なやわらかさと、強烈な肉感を兼ね備え、光り輝いている松坂牛を食べ、一同のボルテージはマックスに。

ところで、弊社西井はマーケティング業界のフーディーと呼ばれるほどのグルメです。西井曰く、一流のシェフは“肉の焼き目が何ミリなのか”にこだわるのだそう。
そう言われて覗き込むと、なんときれいなことか。
料理人という職人の、細部に至るこだわりを垣間見ます。今まで肉の焼き目なんて気にしたこともなかったので、新しい視点をいただけました。
さあ、いよいよシメです。
九品目
「締めはビーフシチューです。混じり気なしの野菜と牛肉、トマトで作りました。ご飯も少しつけてます。」

なんかもう、お腹も心もすべてが満たされて、言葉になりません。本当にやさしい味でした。一瞬でなくなりました。
最後はデザートです。
十品目
「最後のデザートです」

「ヴァローナのチョコレートを使っています。」
ヴァローナとは、チョコレートの有名なブランドです。初めて食べました。さくっとしたかと思いきやすぐ溶けました。クリームも最高です。
ちなみに、デザートを作ったのは手島シェフではなく、別のパティシエの方が作ってくださいました。
「料理人とパティシエって、別の職業なんですよね。デザートでは、料理人はパティシエに勝てません(笑)」
またもや新しい発見です。デザートを作るのは、シェフではなくパティシエなんですね。知らなかった。
終わりに
料理のあと、少し時間があったので手島シェフのお話を聞くことができました。
フランス語も全くわからない状態で一人フランスに移り住んだ時のこと。ビザが切れる間際、帰国するかフランスに残るかの判断に迫られたことがあったそうです。
そのときのお話をすべてを紹介することはできませんが、最後に手島シェフの言葉を紹介させてください。
「フランス料理は、全てのものを受け入れる。わさびでも、麹菌でも。
フランス人が受け入れていれば、それはすべてフランス料理になる。」
今まで体験したことがない、もう二度と味わえない特別コース。表にはあまり出てこない、ミシュランシェフの様々な過去や想い。プロのこだわりや手腕。仕事への向き合い方。お客様への思いやり。
それらすべてから学べることがたくさんありました。
改めて、手島シェフとスタッフの方々、貴重な経験をありがとうございました!

みなさんもぜひ、フランスを訪れた際は手島シェフのお店に足を運んでみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
2021年もどうぞよろしくお願いいたします!
p.s.
ささやかながら手島シェフへのお礼として、シンクロが昨年立ち上げたブランド「HOLICC」のPackBagをプレゼントさせていただきました。

(シンクロ 櫻井)
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